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「#幼馴染」のBL小説を読む
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「そう言えばさ、莉津はやっぱ大学進学??」
「ん?今のところはそうかな」

お弁当を食べ終えたあと、さっきまでの気恥しさは無くなりいつも通りの雰囲気に戻った
進学クラスにいるし、一応進路は大学へ進学するつもりでいる
友達の中には専門学校に行くって子もいたなぁ

「何処か決めた?」
「うーん、まだ迷ってるところかなぁ」
「だよなぁ、俺も迷ってる…県外か県内かとか」
「…孝支君は、県外もいいなって思ってるんだ」
「うん、まぁ、結局は地元に帰ってくるだろうと思ってるけど人生で1度くらい宮城から出てみたいなーって思って」
「そういうのも楽しそうではあるねぇ」

楽しそうではあるが、一人暮らしは大変そうだ
自立するのには良さそうだけれど

「都会に行けば幅広く学べたりするのかな?」
「学科にもよるだろうけどなー」
「だよねぇ…でも東京とか憧れるよね…人混み多いところ苦手だけど」
「何かやりたいこととかは?」
「うーん…私根っからの文系だから、そっち関係の仕事とか良いよなぁって思う」
「莉津、英語も国語も得意だもんな」
「翻訳家とか憧れる」
「かっけー」

将来のことについて漠然してて、現実味が無い
何になりたいなんて、小さい頃にはいくらでもあったはずなのに今じゃ全然分からない

「でも、私…」
「ん?」
「高校卒業しても、孝支君がずっと隣にいてくれたらなって思うよ」
「っ、」
「孝支君はかっこいいからきっと大学でもモテるだろうし、選り取りみどりだろうけど」
「そっ、そんなこと無い!」

私の言葉に孝支君は突然立ち上がった
私の事を見下ろすような形でじっと私の事を見ている

「俺は、莉津以外と付き合おうとか思ってないし、これからも莉津と一緒にいたいんだよ!告白してきたのは莉津からだけど、ずっと俺だって好きだったんだ…そんな風に、言うな…」

眉間に皺を寄せてギュッと目を閉じた孝支君
その表情を見ているとこっちまで胸が締め付けられる思いだった

「俺が好きなのは、他の女子じゃなくて、お前なんだよ」
「…ごめんね、孝支君が私の事をそんな風に思ってくれてたなんて知らなかった。ありがとう…私ばっかり好きなんだと思ってたから、嬉しい」
「なんだよ、それ」

両手を握りしめていた彼の拳にそっと自分の手を添える

「孝支君、私、貴方に出会ってから毎日好きなところが増えていくの。好きすぎて、好きな気持ちがどんどん溢れてきちゃうの」
「っ、」
「孝支君のお陰で、私は毎日幸せなの…ありがとう」
「俺だって莉津がいるから毎日が楽しい。好きだ」
「私も…」
「莉津の、そういう素直に自分の思いを伝えてくれるところ、好きだ」

そのまま孝支君はしゃがんで私と目線を合わせゆっくりとキスをした

「あと、俺が名前呼ぶと目を細くするのも」
「っん」
「キスする時にギュッと目をつぶるとこも好き」
「っちょ、」
「話す時は絶対人の目を見るところも」
「ぅ、ん」
「すぐに顔が赤くなるとことも、他のところも全部好き」
「っ、孝支、君…も、恥ずかし」
「心地いい声も好き、そうやってすぐ恥ずかしがるとこも好き」

1回1回キスをするから、恥ずかしくて死んでしまいそうだ
顔中が熱くて熱が引く様子がない

「莉津が思ってる以上に俺は莉津のこと好きだよ」
「…うん」

嬉しい、心がじんわりと暖かくなってくる
私は多分、この人以外の人を好きになれないんじゃないだろうか
そんな気がした



「……もし、お互いの大学が近くだったらさ」
「うん」
「一緒に、住まない?」
「ふふ、それ、すごくいいと思う」


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