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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -




なんとなく一緒に帰る雰囲気になって2人ならんで道を歩く
なんて事無い顔してるけど内心バクバクだった

「佐倉井はこの道を通って帰ってるのか?」
「ん?いや、今日は本屋に寄りたくていつもとは違う道を通ってきたの」
「へぇ」
「でも、今日は澤村君に会えたから…寄り道して良かったかなぁ」
「っ、え、あ…そう、か」
「ふふ、なに?その反応…ちょっと失礼だよ」

ニコニコと笑みを浮かべている佐倉井
思わぬ発言にどう反応していいか迷った

「青城、だよな?高校」
「ん?うん…この前入学したと思ったのにもうあっという間に3年になっちゃった」
「そうだな…」
「澤村君はさ、なんか…大きくなったね」
「ん?まぁ、身長は伸びたけど」
「身長もだけど…なんと言うかどっしりと安定してるというか…うーん、大人になったなぁって」
「はは、何だそれ」

難しそうに眉を潜めている佐倉井
…今日は何だか知らない佐倉井をたくさん見る事が出来たな

「あ、私バス停ここなの」
「…おう」

数メートル離れたバス停を指さす佐倉井
いつの間にこんな所まで歩いてたのか

「なんか、あっという間だったね」
「、俺もそう思った」
「ホント?以心伝心だね」
「どうだろ」
「そこは、そうだなって言うところだよ」
「そうだな」
「…もー」

眉を下げて笑う佐倉井
この表情が、なんかいいなって思った

「…澤村君、全国大会に行くんだってね」
「…おう」
「及川君がね、悔しがってた」
「及川と、知り合いなのか」
「なんと3年間同じクラスなの…凄いよねぇ。私自身はバレーして無いけどバレー部との関わりが意外とあったことに最近気がついたの。あとね、何となく及川君から澤村君の事聞いてたんだよ」
「え…及川が?」

アイツが俺のこと話すなんてきっとろくな事じゃないだろう…
若干顔が引き攣るのを感じた

「主将が土台になってるチームだって」
「え…」
「あと何か喰えないやつだとかも言ってたけど」
「はは…」
「あの人、ひねくれてるから素直に人の事褒めれないんだよ」

正直、驚いた
あいつがあんな風に俺の事を話しているとは
てっきり貶してるかと思った
あと、佐倉井と及川の仲がいい事に対しても

「及川と…仲良いんだな」
「うーん…どうなんだろ?でも、3年間一緒だとそれなりに話すようになるというか。まぁ、向こうはどう思ってくれてるのかなんて分からないけど仲が良いなら少しは嬉しいかもね」

佐倉井は、及川のことが好き…なんだろうか?
嫌な考えが頭の中に過ぎった

「好き、なのか?」
「…及川君の事??」
「…あぁ、嫌なら、答えなくていいんだ」
「うーん…好きか嫌いかと聞かれたら好きだけど。女の子にだらしない人は嫌だなぁ。彼にもいつかバレーみたいに一途になれる人が現れたらいいな、とは思うけど…私には役不足だと思うよ」

難しい顔をして佐倉井は話してくれた
あれだけ顔が良ければ女なんて選び放題か
何となく、及川の恋愛事情を知って複雑な気持ちになる

「それに私、好きな人いるから及川君は無いかなぁ」
「そ、うか」
「誰かって聞かないの??」
「え、いや…そう言うのって聞いていいもんなのか?」
「あは、それはそうか」

いや、聞けるもんなら聞きたいけども
サラッと言われるとどうも聞にくい
気まずげに視線を逸らしてしまう

「私ね、実は澤村君の事、好きなんだよ」


時間が、止まったように感じた
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