×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -




________________
__________
______



「鉄くーん、起きて!朝だよ」
「……あと10分」
「…それもう3回目だよ?朝ごはん冷めちゃうよ」


私はベッドの中で丸くなって寝ている鉄くんに声をかける
一回目の時は枕で頭をサンドしてたけど今は布団にくるまっている
ふう、と一つ溜息を付いてベッドに近づく


「鉄くん!起きて!」
「………莉津、今日の具は?」
「…今日は小松菜と豆腐」
「…他は?」
「出し巻き卵と焼き鮭…あとは沢庵」


そう言うともそもそと動き出す鉄くん
昨日は帰ってくるのが遅かったみたいだし、まだ寝足りないのかも知れない


「鉄くん、朝ご飯食べたら今日は2人で日向ぼっこしようか」
「…んー?どうした、急に…」
「今日はいい天気だから、きっと気持ちがいいだろうなぁって思って」
「そーだなぁ」

布団から出てきた寝ぼけ目な鉄くんの姿にクスリと笑みを零す

「目が覚めた?」
「…微妙」
「ふふ、早く顔を洗って歯を磨いて来てくださいねー」
「…なんか、母ちゃんみてぇ」
「私は鉄くんのお母さんになった覚えはありません」
「…知ってるよ」

鉄くんの言葉に少しだけむっとして返す
そんな私を見て鉄くんは何故かニヤリとした

「莉津は俺の、奥さんだからな」
「っ!そ、そんな寝ぼけ目で言われたってときめかないだからね!」
「顔赤い癖に」
「そんな事言う人にはご飯ないですからね!」
「あー、悪かったって、からかって」

部屋から出て行こうとする私の手を引っ張りベッドに引き込まれた
鉄くんが私を見つめる目が、優しくて…
それが、凄く嬉しかった

手首から手を離され頬を人差し指で撫でられる
これは、鉄くんがキスをするよってサイン


「母ちゃんにはこういう事しないだろ?」
「っ、」
「目、瞑れよ」

ギュッと目を瞑るとそっと暖かい温もりが触れる
ほんの少し触れただけで離れていく温もりに少しだけ寂しさを感じた

そっと伏し目がちに鉄くんを見ると視線が合わさった


「もう一回するか?」
「し、しません」
「物足りなさそうにしてただろ?今」
「してないってば!」
「えー」
「もう!ほら、鉄くんご飯が冷めるから早く行くよ!」
「仕方ねぇなぁ」

渋々と言った感じで私の後に続く鉄くん
私はきっと物凄く幸せものなんだろうなぁ
あの日、あの時のことが無かったら私と鉄くんは全く関わりを持つ事がなかったんだから

私の料理好きな性格が幸いした
彼の胃袋を掴めてよかったなぁって、鉄くんがご飯を美味しいって言ってくれる度にそう思う


「…鉄くん、好きだよ」
「っ!?ぶっ、ゴホッゴホッ!ちょ、いって!味噌汁、鼻に入った」
「もー汚いなぁ。はい、ティッシュ」
「お前が急に変な事言うからだろうが!」
「変なことなんて言ってないよ。思った事を言っただけ」
「いつも言わねぇ癖に」
「いつも鉄くんが言ってくれるから、今日は私が言ってみたの」

ニッコリと笑みを浮かべて言うと鉄くんは何かボソリと呟いてお椀を差し出した

「おかわり」
「はーい」


これが、私の幸せな日常です
prev next