×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -




どう言葉を返したらいいのか分からず視線を思わず逸らしてしまいキョロキョロと視線を動かす

「なんかさー」
「…うん」
「俺、佐倉井とは付き合いたいとかじゃなくて…」

そこで言葉を切った黒尾くんに嫌な想像がよぎった
もしかして、付き合いたいわけじゃないけど飯は食いたいから家政婦になれとか??

ドキドキと嫌な胸の音を聞きながら彼の言葉を待つ

「付き合いたいを通り越して結婚してぇ…」
「…はぃ??」
「だってよー帰ってきて美味くて温かい飯が朝晩出てきて昼は愛妻弁当作ってくれるとか最高じゃね?」
「はぁ」
「あー、結婚は早くても同棲とかしても同じ生活出来るよなぁ」
「…えっと、それは…ご飯目的ですか??」

正直、結婚という言葉を聞いて舞い上がりそうになったがご飯目的なのかと思うとどうにも素直に喜べない
確かに胃袋は掴んだけど、それだけの目的となると私の魅力はそれしか無いみたいだ
それはちょっと悲しい

私の言葉にきょとんとした顔をし、黒尾くんは首を傾げた

「勿論それだけじゃねぇけど…何ていうんだろうな。佐倉井ってすげー包容力があるんだよ」
「え、それは体型系的な??」
「何でそうネガティブなんだよ。懐の話」
「うーん、そう?」
「そう。しかもちゃんと俺の事分かってくれてるし、愚痴言っても嫌な顔絶対せずに最後まで話聞いてくれたりアドバイス欲しい時は的確なのをくれる。あ、あと俺佐倉井に頑張ってって言われるの一番好きだな」

にっと歯を見せて笑う彼に頬に熱が集中してくるのが分かった
どう反応したらいいのか分からず、赤くなった顔を隠すように俯く

「うん、そういう初々しい反応もすげー可愛いと思う」
「く、黒尾くん、そんな事言う人だったっけ」
「さあ?俺も今初めて知った」
「……ばか」

からかうような口調に聞こえるか聞こえないかぐらいの声で反論する
どうやら彼には聞こえていたみたいで、だけどそれすらも意に返さない様子だった

「なぁ、俺のために毎日味噌汁作ってよ」
「…それ、古くない?」
「だめ?」
「だめじゃ、ない、けど」

黒尾くんといたら心臓がいつか壊れちゃうかもしれない
心臓に悪いよ…

「佐倉井、俺と付き合って」
「く、黒尾くんは、私の事好きなの?」
「え、分かんねぇ?」
「ちゃんと、聞きたいなーって…ダメ?」
「ダメじゃねぇけど」

黒尾くんの顔をチラリと見てみると彼はちょっと頬を染めてそっぽを向いていた
黒尾くんでも恥ずかしがることあるんだなぁってちょっと場違いな事を思った

「佐倉井が好きだ。俺と付き合って下さい」
「…うん、私も黒尾くんのこと好きです。私で良かったら、よろしくお願いします。」

何となく照れ臭くて俯いていたら黒尾くんがクスクス笑うから、なんだか私も笑っちゃった

こういうの、幸せって言うんだろうな
prev next