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「#幼馴染」のBL小説を読む
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そんなこんなで付き合う事になった俺たちだったが早いもんでもうすぐ1年が過ぎようとしていた
お互いの距離感が分かっているから楽だったし、莉津も素の性格はあっさりとしていたから連絡も週に数回で例え返信が遅れても怒ることは無かった
デートだって数える程しかしてないのに不満を言われた事は一度もなかった
今回みたいに放課後たまに一緒に何処かに寄って帰る事もあるけど

「なぁ、莉津」
「…ん?」

夜の街頭が照らす道を手を引きながら歩いて行く
大人しく後ろを付いて歩いてくる莉津に話しかける

「今度どっか出掛けるか?」
「なに?急にどうしたの」
「いや、普通休日とか出掛けたいもんじゃねぇの?」
「うーん…堅治の前の彼女たちがどうだったのかは知らないけど、私は別に」
「…お前ちょいちょい俺の心抉ってくるよな」
「え、抉ってた?」
「無自覚かよ」
「私は休みの日は堅治にゆっくり身体を休めてもらいたいの」

確かにホントはそうしたいけど…
でも俺だって彼女の事を大事にしたいって気持ちはある
ほかの女と違うなら尚更のこと

「でも、私も堅治と一緒にいたいよ」
「……おう」
「今度私の家に来る?そんでダラダラして過ごそうよ」
「それもいいな」

莉津の家には何回か行った事がある
お嬢様学校に通ってあるだけあってそこそこのお金持ちだ
本人曰く自営業をしてるだけで大きな会社ではないと言っていたが家の比じゃ無い

「お母さんが会いたがってた」
「ほぉ、そりゃ光栄だ。お前の母ちゃん綺麗だからな」
「…私の方が若いよ」
「当たり前だろ」

…嫉妬なんだろうか
ムスッとした表情を浮かべ俯く莉津に口元がにやける
それに気付いた莉津は手を繋いでいない方の手でグーパンをしてきた
まぁ女子のグーパンなんて痛くもないけど

「何ニヤけてんの、キモイ」
「おまっ、彼氏にキモイはねぇだろ」
「だってニヤニヤしてるし」
「ニヤニヤって…」
「ホントのことだし、なに、まさか年上好きなの」
「はぁ?なんでそうなるんだよ」
「家のお母さんのこと綺麗って言ってたじゃんか」

どんどん不機嫌になっていく莉津を他所に俺の気分はどんどん良くなっていく
普段嫉妬とかしないやつが自分の親に嫉妬するなんて…
ほんと可愛いやつ

「ちげえって」
「何がよ」
「莉津が年取ったらあんな感じになるんだろうなって思っただけだよ」
「っ!……なに、それ…馬鹿じゃない」

今度は頬を赤く染めて俯く莉津
不機嫌になったり赤くなったり忙しいやつだな

「…ていうか、ある意味プロボーズじゃん」
「は?」
「だって私が年取ってもずっと一緒にいてくれるって事でしょ?」
「……まぁ、莉津となら飽きなさそうだしな」

繋いでいた手を引っ張り自分の胸に抱き寄せる
俺の方を見上げた莉津の柔らかな唇にそっと口付ける
突然のことに目を丸くしていた莉津を見てぷっと吹き出す

「なんて顔してんだよ」
「なっ!だって堅治がいきなり!」
「いいじゃん、付き合ってんだし」
「それは…そう、だけど…」
「なんならもっかいする?」
「しない!!」

顔を真っ赤にさせ眉を釣り上げる莉津
そんな様子をみてまた笑みを零す

普段の学校生活で自分を偽って過ごしている莉津が俺の傍でだけは素でいられるようにしてやりたい

こういう偽りのない関係が、こいつにとって安らげる場所になればいい

なんて、ちょっとカッコつけてみたりしてな


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