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そしてそれから何故かあのお嬢様学校の彼女とよく会うことが多くなった
別に連絡先を交換したわけでも無く、本当にただ偶然だった
部活が終わり駅のホームで電車が来るのを待っていたら車両が同じだったり
漫画を買いに行こうと本屋に行くとそこで参考書を買おうとしている彼女を見かけ届かない位置にある本を取ってやったり(少女漫画かよ)

一体なんなのかと思うほど彼女とよく会った

最初の2、3回はお互い偶然、という感じだったが4回5回と続くとまたかよと2人してげんなりした顔になった

今日も今日とて久しぶりの休みの日に街へ出ると最初にあった時と同様ナンパをされていた
ちらりと彼女の方を見るとあっちも俺の方を見ていた

「……はぁ」

助けるしかねぇか

俺は渋々と彼女の方へ歩いて行きナンパ男たちに話しかけた

「すみませーん、この子俺の連れなんで、どっか消えてくれません?」
「はぁ?なんだテメェ!」
「だーかーらー、俺の女だっていってんの。分かる?」
「っひぃ!」

俺よりも身長の低い野郎にちょっと凄めばそいつは呆気なく去っていった

「なんだアイツ…男のクセに弱ぇの」
「……さっきのあんたの顔が凄すぎたのよ」
「そうかぁ?」

そうでも無いと思うんだが…
ちらりと視線をしたに下げるとほんのりと頬を赤く染めた彼女が移った

「……言っとくけど、さっきのはナンパ避けするためだからな」
「わ、分かってるわよ!それくらい」

ふいっと顔を逸らすが彼女の頬の赤みは消えていない
ナンパされてるからこういう常套句も慣れてるかと思っていたけどどうやらそうでもないみたいだ

「照れてんの?」
「照れてないわ!!」
「いや、絶対照れてるだろ」
「うっさい!慣れてないんだから仕方ないでしょ!?」

キッと俺を見上げるその瞳が必然的に上目遣いとなり、ドキリとした

「な、なんだよ…まさか今まで誰とも付き合った事ねぇの?」
「そうだったらなに、悪かったわね」
「別に悪かねぇけど…意外」
「は?」
「だってさっきみたいにナンパ良くされてんだろ?初めてあった時もそうだったし」
「好きでナンパされてる訳じゃないし」
「まぁ、そうだろうけどそんだけ引く手数多って事だし…付き合った事あるだろうなって」
「…貴方はありそうだけどね」
「まぁ、それなりにな」
「………あっそ」

当然、彼女がいた事はある
結局部活が忙しくってあんま会えないことに対して不満が溜まり振られるパターンと
私よりも部活を選ぶのねって言われてそんな奴はこっちから願い下げって振るパターン
どちらかというと後者のほうが多い気がする

「ま、殆どすぐに別れるけどな。もって3ヶ月くらい?」
「…聞いてないけど」
「ほら、俺部活第一だから彼女は二の次なわけよ」
「本気で好きなら、貴方のそういう考え方も理解してあげるべきなのにね」
「…へぇ」
「何よ」
「そんなん言われたの初めてだなーって」
「貴方、女を見る目無いわね」
「はっ、言うねぇ」
「ホントの事でしょ」
「あーあ、どっかに良い女いねぇかなー」
「……いるでしょ」
「は?何処に」
「ここに、とびっきりの良い女が」

なんだ、それ
何も言えずに目を丸くしている俺を見て、さっきよりも顔を真っ赤に染めて睨み付けた
その顔を見て不覚にも可愛いとか思ってしまった

「なんか言えよ!恥ずかしいじゃない!」
「いや…つーか、お前俺のこと好きなの?」
「なっ…ち、違わないことも無いことも無い!」
「どっちだよ…」
「五月蝿いわね!」
「まぁ、俺はお前の事嫌いじゃねえけどな」
「っ、ば、ばーか!」

頭をポンポンと2、3回撫でてやると首まで赤く染めた彼女を見て、初な女もありだなって思った
まぁ、結局俺の方がどハマりする事になるんだから人生ってどうなるかわかったもんじゃねぇよな

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