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俺と莉津が付き合うようになったきっかけは少女漫画とかでよくあるナンパ野郎から絡まれていたところを助けたのがきっかけだった。



ねちねちとしつこそうなナンパに俯いていた噂の女子高の生徒
下心が無かったわけじゃない
普通にあった
だってお嬢様学校だったしもしかしたらもしかするかもってちょっとは思った
そんで助けた女がちょっぴり可愛い感じだったら嬉しいなーってさ

ナンパ野郎を追い払った後、その女が顔を上げた瞬間俺は思わず息を呑んだ
助けた女はナンパされても仕方が無いほどに整った顔立ちをしていた
男なら誰だって声をかけたくなる、そんな容姿をしていた

くりくりとした大きな瞳に写った俺は間抜けな顔をしていた事だろう
金縛りにあったかのように動けなくなったままの俺はその女の言葉に愕然とした

「助けていただいてありがとうございました。あともう少し遅かったらアイツの急所を機能停止させてました。」

ニッコリと効果音がつきそうな程輝きを放っているが内容は壮絶なものだった

「あ、もしかして引いてます?」
「…いや、」
「アハハ、顔引き攣ってますよ」
「は、ははは」
「お嬢様学校の生徒なのに口悪いなーって思いました?」
「いや、まぁ」
「ま、現実なんてそんなもんですよ」
「はぁ」
「あ、その制服伊達工のですね」
「あぁ、うん…」
「…排球部、バレー部なんですか」

俺の肩にかけてるエナメルの刺繍を見て女はポツリと呟いた

「まぁ」
「貴方、さっきからはぁ、とかまぁとか曖昧な返事ばっかりね。男のくせに」
「はぁ?!」
「ホントの事だもの」

最初の完璧な笑顔から一変し少しムクれた顔をしてこっちを見上げた
今の時の方がよっぽど人間味がある
さっきよりも少しだけ親近感が沸いた

「…さっきみたいなの、良くあるのか?」
「…まぁそうね、女子高だしブランドみたいな物じゃない?アクセサリー的な」
「……」
「そばに置いていれば自分の価値も上がったように思うのよ、きっと」
「…そういうもんかな」
「そういうものよ」

自嘲したような笑みを浮かべる彼女に俺はなんて声をかけたらいいのか分からなかった
きっとお嬢様学校に通うのはそれなりに苦労するんだろうな

「そういえば、あなたの名前は?私は佐倉井莉津、1年よ」
「俺は二口堅治、1年」
「あら、同い年だったのね」
「…年上だと思ってたんなら敬語だろ、普通」
「だから最初は敬語だったでしょ?」
「…じゃあなんで途中から止めたんだよ」
「ふふ、なんでかしらね」

くすくすと笑う彼女はまだ何となく猫を被っているような気がした

「そのお嬢様口調、やめろよ…」
「…あら」

俺の言葉に目を丸くした莉津
一応他人の事はよく見てる方だからそれくらいは分かる

クスリとまた笑ったかと思うと笑みを浮かべたまま口を開いた

「私、家以外では口調を変えてるんだけど…違和感あった?」
「いや、なんか…そう言うのじゃなくて」

自分でも上手く言えなかった
何故だか、目の前にいる彼女が無理をしているように思えた
強いて言うなれば……

「………カン?」
「は?」
「良くわかんねぇよ、ただそう思っただけだ」
「ふぅん…」

へんなの、とポツリと呟いた彼女は不思議そうにしていた

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