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「#幼馴染」のBL小説を読む
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「……本当だって莉津、うちのバレー部でも結構話題に出るの聞いたことあるし」
「え、それは初耳だったな……あいつマジ調子乗ってんな的な??それともあいつ授業中めっちゃ寝てるよな、とか?」

えー…嫌だなぁ悪口言われてるのか私

「…そんなわけないでしょ。気さくで話しやすいとか、笑った顔が可愛いとか…そんな感じ」
「えぇ?!ホントに?!うわー嬉しいなぁ、そんな事言われたことないし」

誰だろ、そんな事言ってくれた素敵な人は

「クラスでもそう言ってる男子いるよ?」
「えー、私いつも女として扱われてないんだけど」
「……内田とか」
「へぇ、内田君かぁ…………は?!内田君!?え、さっき話してた!?」
「………」

潔子ちゃんはこくりと無言で頷いた
まぁ確かに内田君とは結構話すけども…
でもそれは小学校からの付き合いだし、とっつきやすいからだと思う

「うーん…想像つかない」

ニヤニヤしながら冗談いってる所なら容易に想像つくけども

「やっぱり話しかけやすいって凄く重要な事だと思う…それに莉津は可愛いし」
「は、…え、か、可愛い、とか」
「可愛いよ、莉津は可愛い」
「あの…えっと…て、照れる」
「ふふ、莉津顔赤い」

他の人から言われたら冗談だって受け流せるけど、相手は潔子ちゃんだ
冗談だとしても嬉しくないわけが無い
だけど、凄く恥ずかしい
潔子ちゃんが言った通り顔中にぶわっと熱が集まって来るのが分かる

「い、言われ慣れてないから…」

赤くなった顔を見られたくなくて俯く

…何この展開
私、夢でも見てる?
確かめるために私は自分の手のひらを抓る

……痛い

ちゃんと痛みがある、と言うことは現実だ

ちらりと少し顔を上げるとこっちを見ている潔子ちゃんと視線が交わった
変わらず笑みを浮かべている潔子ちゃん
そして耐えきれず私は再び下を向く

「っ、今日の潔子ちゃん、なんかいつもと違う」
「そう?そんなこと無いけど」

いやいや、止めてください
そんな笑顔で私を見ないで
恥ずかしくて死ねる
気になってチラチラと顔を上げると潔子ちゃんは終始笑顔だった

「ねぇ、莉津」
「な、何?」

潔子ちゃんが歩みを止めたのにならって私も足を止める

薄暗くなってポツリポツリと街灯が灯っているのが見えた
周りに人影は無く、私と潔子ちゃんの2人きりだった

「もし、もしもだけど内田や他の男子が告白してきたら莉津はその誰かと付き合う?」
「…?」

真剣な面持ちでそう言った
決してガールズトークで盛り上がる為に振った話題では無さそうだ
私は何の為にこの話題が振られたのか分からないけど相手が真剣なのに適当に流すわけには行かない
ましてや相手は潔子ちゃん

「……」
「………」
「付き合わないかな」
「…そう、なんだ」
「……私、ずっと秘密にしてた事があるの」
「秘密?」

これを言ったら、友達には戻れないかもしれない
本当は言うつもりなんて毛頭なかった
でも、良い機会なのかもしれないな
震えそうになる手をギュッと握り締めて口を開く

「…私、今好きな人がいるの」
「っ、好きな人?」
「そう、その人と一緒にいるとね、傍にいられるだけで嬉しくて名前を呼ばれるだけで自分の名前が特別なものに感じて…笑顔を向けられるだけでドキドキするの」
「……」
「幸せで、学校生活が今凄く充実してる」
「その人に、告白しないの?」
「……うーん、潔子ちゃんはした方がいいと思う?」
「そんなに想っているなら、伝えた方がいいと思う」

今度は私が潔子ちゃんの顔を覗き込む番だった
何故だかその瞳は少し揺らいでいた

「そっか……」
「うん」

サァッっと少し強めの風が髪を揺らした

まるで、私に頑張れってエールを送ってくれてるみたいに
……なんて、ちょっとクサイかな

「潔子ちゃん






…………好きだよ」

「…っえ、」
「私の好きな人は、潔子ちゃんだよ」

驚いてないけど固まる潔子ちゃんの一歩に踏み出した
そりゃそうだ、戸惑うよね

幾ら告白され慣れている潔子ちゃんにとっても女の子に告白されるなんて思ってもみなかったはず
でも、何となくスッキリした気分

「……ごめんね、こんな話されて迷惑だったでしょ?……気持ち悪かった、よね」

潔子ちゃんがどんな顔をしているのか、怖くて振り返れなかった
もう、潔子ちゃんとは友達に戻れない…
でも、楽しかったから…今まで過ごしてきた時間は私の宝物だから
大事に仕舞っておきたい

ふぅ、と1つ息を吐いた時フワリと後ろから抱き締められた
微かにシャンプーのいい香りがした

…もちろん、ここにいるのは私と潔子ちゃんだけだ

「き、潔子ちゃん?」
「…今の、本当?」
「う、うん」

バクバクと今までに無いくらい心臓がせわしなく動いている
なに、これ…
どういう状況??
心臓が、口から飛び出すんじゃないだろうか
そう錯覚してしまいそうなくらい私は混乱していた。


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