×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -




「潔子ちゃん、具合でも悪い?」
「…え?そんなこと無いよ」
「そう…?マネ業って大変らしいし気をつけてね?」
「……うん、ありがとう」

ふわりと花が開くように笑った潔子ちゃん

ドキンと胸が高鳴った

あぁ、私はやっぱり貴方の笑顔が何よりも好きだ

「莉津はもう帰るの?」
「ん?…んー、そのつもり。もう暗くなってきたし」
「あのさ、」
「どうしたの?」
「部活、もう少ししたら終わるから良かったら一緒に帰らない?」

そ、そんな素敵なお誘い断るわけないじゃないか!!

「勿論!!是非ご一緒したいです!!」
「ふふ、何それ」

あぁ、私は夢でも見てるんじゃないだろうか!

今まで部活をやっていない私は潔子ちゃんと帰ることなど1度も無かった

「あと30分くらいしたら終わるから…」
「あ、じゃあ正門で待ってるね」
「うん、それじゃあまた」
「頑張ってね!」

私の言葉にこくりと1つ頷いて教室から出ていった。
忘れ物の巾着袋をしっかりと握って

潔子ちゃんを見送った後私は自分の頬を抓ってみた

「…いたい」

良かった…私は自分にとって都合のいい夢を見ていたわけでは無いようだ

神様の気まぐれだろうがなんだろうが構わない
嬉しいものは嬉しいんだから

あと30分

教室の時計で時間を確認する
時計を見つめていたからといって時間が早く進むわけでもないのに私は早く早くとじっと見つめていた

自分のポーチの中から手鏡を出して変なところはないか確認したりして
そんな自分に気が付いて少し恥ずかしくなった
……中学生じゃあるまいし
初恋に浮かれた恋する少女か

勿論、これは私の初恋じゃない
そもそも私は今まで好きになった人は男の人だったのだ
それは部活の先輩であったり、同じクラスのアイドル的存在だったクラスメイトであったり、近所に住む大学生のお兄さんだったり様々だった

付き合ったことは1回きりだけど…

だから私自身も初めの頃はすごく戸惑ったのを覚えている
どうして潔子ちゃんだったんだろう、とか
女の子の事を好きになるなんて思ってもみなくて酷く動揺した

でも今はそんなこと気にならない
だって私は潔子ちゃんだから好きになったんだ
きっと私が男の子だったら潔子ちゃんの事を好きになってたと思うし逆でも同じことだっただろう

私は清水潔子という1人の人間に惚れたのだから


この恋が例え実らなくても私は絶対に後悔しない
だって私は潔子ちゃんに恋をしてこんなにも暖かい気持ちになれたもの

確かに辛いこともあるけど、決して悪いものじゃなかったから

想いを、告げても実る可能性はほぼ0だと思う
でも潔子ちゃんは優しいから…真剣に悩んでくれる
彼女はそういう人だから
それで気まずくなるのは哀しいから、想いは告げない
…それがいいと、思う

「…あ、時間」

考え込んでいたせいか気が付けば時間は約束の15分前になっていた
私は机の横に既に準備を終わらせていたカバンを手に取り教室を後にした


prev next