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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -




※百合です
苦手な方はプラウザバッグ推奨です。


放課後誰もいなくなった教室で1人
私だけしかいないこの空間で外の活気ある声掛けなどから隔離されたこの場所は酷く閑散としていた

「…はぁ」

溜息を付いたところで状況が変わるわけでもないのに無意識のうちに出てしまうのは人の性であるためか
…なんて難しく言ってみるけど結局私は悩みがあってそれを深く考え過ぎてそれが溜息となって吐き出されたのだ

それは私の秘密に関係する悩み、私だけの秘密だ

私だけの秘密、それは私が恋をしているのは女の子だという事

意中の相手は私と同じクラスの清水潔子ちゃんだ
彼女は同性の私から見ても凄く魅力的な人だ

初めはただの憧れだと思っていた
それが違うと気がついたのは…いつだったろうか

彼女が男子と話をしているところを見ると胸がモヤモヤして苦しくなって
授業中に真剣に取り組んでいる姿や笑顔に胸が高鳴って

名前を呼ばれる度に嬉しくて仕方が無くなっていたのは…

ここまで来れば流石に私も馬鹿じゃないから分かる

彼女に恋をしているということに


周りには勿論言えない、本人に思いを告げるなんて以ての外だ
彼女に嫌われるくらいならずっとこのまま友達という関係でいたい
傍にいられるのならどんな関係でもいいのだ

潔子ちゃん、すき、すきだよ
この想いが伝えられなくても、貴女が他に誰かを好きになって付き合ったとしても私はずっと大好きだよ

「…すき」

ほんと、涙が出てきちゃうほどに


誰もいない教室で私の声だけが妙に響いた


私が、男に生まれてくれば良かったのに
そしたら自分の想いを伝えれるのに…
どうして女に生まれただけなのに同性が好きだという事で変な目で見られないといけないの…

友達に前、冗談で女の子が好きって言ったらどうする?って聞いたらドン引きしたような顔をされた
頭ではちゃんと理解していたはずなのにその事がやっぱりショックで、潔子ちゃんにもそういう風に思われたら私は立ち直れないと思う

残りの高校生活、気まずい雰囲気で過ごしたくない

でも、つらい
潔子ちゃんの顔を見ると全身が騒ぐんだ
この人の事が好きだって

溢れてきちゃうんだよ

「でも、嫌われたくないよぉ…」
「誰に?」
「っ?!」

ここにいるはずの無い人の声が教室に響いた
ドアの方へ顔を向けた反動でポロリと涙が零れた

「どうしたの?泣いてるの?」
「き、きよこ、ちゃん…」

私の想い人が、そこに立っていた
彼女は私の顔を見るなり目を丸くしてこちらまで駆けてきた

「どうしたの?誰かに何かされた?!」
「ち、違うの…ちがうのっ」
「じゃあなんで…」

なんで?…そんなの言える分けないじゃない
あなたが好きだから、想いを告げられないことが辛くて泣いてました
なんて…言えない

「し、心配しないで…潔子ちゃん」
「でも…」
「放課後居眠りしちゃってさ!少し嫌な夢見ちゃっただけなの!」
「ほんと?」
「ほんとほんと!」

未だに疑り深い顔でこっちを見ている潔子ちゃんの視線を避け帰りの支度をする

「そう言えば潔子ちゃんはどうして教室に?まだ部活じゃなかったけ?」
「ちょっと忘れ物をしちゃって」
「潔子ちゃんが?珍しいね」

しっかり者の潔子ちゃんが忘れ物をするなんて
どうしたんだろう…


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