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「#幼馴染」のBL小説を読む
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「…莉津、さん?」

そこにいたのは莉津さんだった
髪の毛は最後にあった時よりもだいぶ伸びていたけど、あの瞳と声は間違いない


ボールはコロコロと転がって莉津さんの前で止まった
まるで初めてあった時を再現したかのようだった

莉津さんは足元まで転がって来たボールを拾ってあの時と同じ様に両手でクルクルと回した


「…しょうはボールを転がすの好きね」
「え、何、2人は知り合いなの?」


ごめんなさい、菅原さん
今はちょっと衝撃が強すぎて反応できないです


「か、烏野、だったんですね」
「うん、そうなの。家引越ししたからこっちの方が近かったから烏野にしたの。しょうは?」
「お、俺は…小さな巨人に、なりたくて」
「へぇ…バレー上達した?」
「そ、それは…その、まぁまぁ」
「ふふ、何それ」


莉津さんの笑顔はあの時と何も変わらなかった


「いや…え?何この状況」
「あぁ、菅原…さっき先生が呼んでた。確か今日日直でしょ?なんか午後の授業について話したいことがあるって」
「え?!マジか!サンキュー!日向、わりぃけど今日の練習はここまででいいか?」
「あ!はい!ありがとうございました!」
「じゃあな!佐倉井、ありがとな!」


菅原さんは俺に軽く頭を下げて走って行った

取り残された俺と莉津さん


「えっと…お久しぶりです、ビックリしました、こんな所で会えるとは思ってなかったんで」
「うん、私もまさかここで知り合いに会うとは思わなかった」
「髪、伸びましたね」


俺がそう言うと莉津さんはボールを片手に持ちもう一方の手で髪を梳いた
長くなった髪の毛はサラサラと指の間を通り抜けていった


「うん、なんか切るのめんどくさくて。しょうは昔よりも背が伸びたね」
「!分かりますか!そうなんです!俺、これからもっともっと頑張って身長伸ばします!」
「ははっ、頑張って」


うん、莉津さんはやっぱり笑ってる方が可愛い


「まだ時間あるし、久しぶりにする?レシーブ」
「い、良いんですかっ!」
「うん、どうせ暇だし」
「お願いします!」


久しぶりに莉津さんとレシーブ練習をしたけど、相変わらず教え方も上手だった
勿論菅原さんも上手だけど!

そこから、どうして俺が昼休みに外で練習をしているのかを話すと莉津さんはレシーブを返しながら言った

「あぁ、じゃあもしかして教頭のズラ吹っ飛ばしたのってしょう?」
「え?!なんで知ってっ!」
「あれ、結構話題になってるよ、生徒の間で」
「ま、マジですか!」
「うん、私が知ってるくらいだし」
「?」


莉津さんの言葉がどこか引っかかって首を傾げる

そんな俺を見兼ねて莉津さんは口を開いた


「私、あんまりクラスメイトと話してないの。部活にも入ってないし」
「え、何でですか?」
「……必要性を感じないから?部活はまぁ、運動部が無理だから入ってないだけなんだけど」
「必要性、」
「女子同士の上辺だけの関係ってどうも苦手みたい」


女子同士って男が考えるよりも複雑なのだろうか…
俺は鈍いからよく分かんないけど


「こうやってしょうとレシーブやってる方がよっぽど楽だし」
「え、えへへ」

そういう風に言われるのは、正直嬉しいけど


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