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「……んぁ」

やべ…いつの間にか寝てた
最近バレーの練習に付き合うために朝早くからばあさんの手伝いをやっていたからなぁ

時計に目をやると時刻は11:20を指していた
…何時頃から寝てたんだ、俺は

最後に時計を見たのは多分9:50くらいだったはずだ
大分寝てたんだな…ばあさんに見つかったら怒鳴られるな

そこで俺の肩に見慣れないストールが掛けられている事に気が付いた

…いつの間に
これ、誰のだ?

肩からストール取った時に香った懐かしい匂い

…アイツが帰ってきてる訳ねぇし
いや、でも…まさか

帰ってきてたとしても、なんで連絡寄こしてねぇんだよ

椅子から立ち上がり店内を見回すが姿は無い

もう、ここにはいない…とか
若干の焦りとまだ覚醒しきっていない頭で考える

店内に居ないとなると自分家に帰ったか、それともまだここにいる?
だとしたら奥の部屋しかない
俺は1歩1歩ゆっくり歩いて、ドアの前に立った

震える手をどうにか抑えてドアの取手をずらし開けた

ドアを開けた先にいたのはやっぱりアイツだった

手元の文庫本に目を向けていたソイツはふとこっちに視線を向けた
そして、懐かしい笑顔を俺に向かって見せた

「おはよう、繋心」
「お、まえ…いつ、帰ってきたんだよ」
「いつ?今日だよ」
「なんで、連絡しねぇんだ」
「…ふふ、サプライズってやつかな?」

出会った頃から変わらない俺の好きな笑み
悪戯好きのコイツがしそうな事だ
だが今回はタチが悪い…

「心臓に悪いだろうが」
「それって驚いたってこと?…それならサプライズ大成功だ」
「…お前なぁ!」

ふふふ、とまた笑うから毒気が抜ける

「繋心」
「…なんだよ」
「…ただいま」
「……おう」

何となく照れ臭くなって冗談気味に再会の抱擁でもするか?と言うと莉津は目を丸くしたあと文庫本を閉じて俺の方へパタパタと小走りでやって来てそのまま抱きついて来た

もしかしたら俺はまだ都合のいい夢でも見てるんじゃないか
そんな想いを打ち消すように俺は莉津の細い腰に腕を回した

ふわりとまた懐かしい香りがして酷く安心した
コイツがここにいる、漸くそう実感できた

あぁ、これは夢じゃない
ちゃんと現実だ

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