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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -




ガコンと音を立てて飲み物が落ちてきた
呆然とする私を他所に岩泉君は飲み物を取り出し差し出した

「ほら」
「あ、ありが、とう」

おずおずとそれを受け取ると岩泉君は小銭を投入して自分の飲み物を買っていた
取り出し口から出てきたのはぐんぐんよーぐるだった
…岩泉君、よーぐる好きなんだ


「あ、お金…!」
「ああ、別に気にすんな。下に落ちたんだろ?」
「…うん」
「俺は早く買いたかっただけだし、小銭が無駄に余ってて消費出来た」
「…ありがとう」
「おう」

岩泉君はニカッと笑って行ってしまった

「〜〜っ!!」

かっっっっこよかった!!!!
何あれ、何アレ!!!


私は岩泉君が見えなくなってからその場に蹲った

久しぶりに会話できたしやっぱり岩泉君はキラキラ輝いてたし男前だった!!

未だに握ったままのいちごミルクを見てぼんやりと呟いた


「…わたし、いちごミルク苦手なんだけど」


少しでも女の子らしく思って欲しくていちごミルクを咄嗟に選んでしまった


***


「あれ、アンタいちごミルク好きだったっけ?」
「ううん、苦手」
「はぁ?何で買ったわけ?」
「だっていちごミルクって女の子っぽくない?」


自分の席に座り友達にさっきあった事を話す


「…なにそれ、めっちゃ男前じゃん」
「でしょ!?もうね、なんて言ったらいいのかなぁ!この気持ちを上手く言葉に出来ないのがもどかしいっ」
「どうどう…まぁ、さらっとそんな事されたらアタシも惚れるわ」
「え、も…?ほれっええ?!」
「え、馬鹿なの??」


いやいや、私は岩泉君のファンであって別に好きとかそう言うのじゃ…


「私が及川君を見る目と莉津が岩泉を見る目は明らかに違うから」
「う、うそ!」
「いやいや、マジだから」


私は岩泉君のバレーしてる姿を見てかっこいいって思って
さっき小銭を入れた時の指がゴツゴツしていて男らしいなって思って
最後のあの笑顔がもっと見たいって思って…

顔中に熱が集まって思わず両手で頬を押さえる


「っで、でも」
「往生際が悪いぞ、逆に今まで気づいていなかった事に驚きだわ」
「わ、私、岩泉君のこと好きなの?」
「岩泉の傍にいたいとか思わないの?特別になりたいとか」


…そりゃあ、なれるものならなりたいけども
私じゃ無理だよ


「さっきあった事をきっかけにして話しかければ良いじゃない」
「え?」
「あの時は本当に助かった、ありがとうとかいって手作りのお菓子とか渡せば良いじゃん」
「盲点っ!!!」


そんなやり口があったなんて!
流石だよ、ゆいちん(親友)!!


「ほら、やっぱり好きなんじゃん」
「あ…」


ゆいちんに指さされはっとする
…そうか、私岩泉君の事が好きなのか

岩泉君の周りがキラキラ輝いて見えるのも、声を掛けられてドキドキするのも、もっと傍にいたいって思うのは

彼の事が好きで特別になりたいからなんだ

ゆいちんが言っていたフィルターの意味がようやく分かった


岩泉君、どうやら私は貴方に恋をしてしまったみたいです。



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