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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -




友達にそう言ったら
「あんた完全にフィルターかかってんじゃん」
とよく分からない事を言われた。

なんだ、フィルターって…
写真とかのあれかな?

「あたしからすると岩泉は莉津が言うみたいにキラキラして見えないもん」
「そんなことないと思うけど…」
「じゃあ及川君を見て見たらどうなの?輝いて見える?」
「いや…正直岩泉君の前じゃ及川君は霞んで見える」
「……それ及川君に凄い失礼だよ」
「…顔は整ってるとは思う…単体で見た時は」


そう、私は何も及川君がカッコよくないと言っている訳じゃない。決して
ただ岩泉君と比べるとどうしても及川君の方よりも彼のカッコよさが勝るのだ。
及川君には申しわけないけども

雑談をしつつお昼の準備をしていたとき、ふと
お弁当を出してから飲み物がなくなっている事に気が付いた


「あ、私飲み物切れてるの忘れてた…買ってくるね」
「いってらー」


小銭を取り出して教室から出る
昼休みのこの時間は丁度空いている頃合いだろう

この学校の不便な所は自販機が1階にしかないことだ
3年生は3階だからいちいち下の階まで降りるのが面倒くさい
目的地の踊り場まで辿り着き自販機へ向かう
予想通り、この時間帯はやっぱり人が少ない
その事にちょっとだけ気を良くした私は意気揚々と小銭を投入していく


「っあ!」


チャリン、と10円玉が手元から滑り落ちコロコロと自販機の下へと転がった


「う、嘘…!!」


なんてこった!小銭入れ持ってくるのが面倒だったから丁度しかお金持ってきて無いのにっ!
さっきまでのルンルン気分が嘘だったかのように沈んでいく

最悪だ…
人気が無いからと言ってしゃがんで手を伸ばすのは花の女子高生として無しだ
でももう一度自分の教室に戻って小銭入れを取りに行くのは嫌だ…

…諦めるしかないか
そう思い返金のレバーを引こうとした時横から手が伸びてきて10円玉が投入された


「っ!?」


驚いて思わず後ろを振り返るとそこには岩泉君がいた


「え、な、なん…い、わいずみ、君」
「良いから早く選べよ」


そう言われて私はとっさにいちごミルクのボタンを押した


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