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日にちまでは覚えてないけど、多分あれは今から一年くらい前の話だったかなぁ…



もう卒業しちゃった先輩たちとの最後の試合で烏野は負けちゃったの



その試合の帰り、私と孝支先輩は二人で歩いてた



まぁ、当然その日で試合負けちゃったわけだからはしゃいでる雰囲気なんて全然無くってさ



暫く二人で黙ったまま歩いてた




「…遥音」



長い沈黙を破ったのは孝支先輩だった




「俺達、来年は必ず春高に行くよ」



その表情は真剣で、私は孝支先輩の想いがよく分かった



「…それじゃあ私は孝支先輩達が春高に行けるように全力でサポートします」



「っ!!…うん」




「じゃあ、孝支先輩達がいる間に春高に行ける様に願掛けします」



「願掛け??」



キョトンとした表情を浮かべた孝支先輩にはい、と返す




「私、孝支先輩達が春高に行くまで髪伸ばします」



私の言葉に孝支先輩は目を丸くした



「それで孝支先輩達が春高に行ったらバッサリ切ります!

私、長いの好きじゃないんで絶対に春高連れてって下さいよ??」



「絶対連れてくから!!」





***********




「と、言うわけで私が髪を伸ばしているのは皆が春高にいけるように願掛けしてるから!」




「お、お前…髪伸ばしてんのにそんな理由があったのかっ!」



「そうそう、くだらなくないでしょ?」




田中の言葉を聞いてチラリと月島の方を見た遥音



月島はふい、と顔を逸らした



「ありがとな、遥音」



大地はそう言って遥音の頭をポンポンと撫でた



「…切りたくならないんすか」



影山の言葉に遥音は少し考えてから答えた



「まぁ、髪長いと色々お金かかるからイヤだけどこれもあと少しの間だと思うと全然平気」



「じゃあもし春高に行ったら髪の毛切っちゃうんですか!?」



日向の言葉に遥音は髪を弄っていた手を止めてふと俺の方を見た



「…どうした?」



「あの時宣言しちゃったんですけど、孝支先輩はショートとロングどっちが好きですか??」



…どっちが好き、かぁ



考えた事が無かったから答えに困る



「俺は遥音だったらどっちでも好きだよ」





どっちの遥音も遥音だって事には変わりないんだし





俺がそう言うと遥音は顔を(というか鼻を)押さえて蹲った




「こ、孝支先輩は私を萌え死にさせたいんですかっ!」



「え、もえ……??」



「スガは変に鈍いからなー」



大地の言葉に俺は首を括る



自慢じゃないけど、俺は結構人の気持ちには敏感な方だと自負してる



「無自覚なところが尚タチが悪いですね」



月島の言葉に隣の山口も頷いている



「遥音、顔がだらしない」



「いや、きよちゃん…真顔でそんなこと言わないで


っていうか普通無理でしょ!自分の彼氏にあんな殺し文句言われてニヤけないでいられる人がいたら見てみたいね!!」



ガバッと立ち上がった遥音は清水に言ったかと思いきや…



「龍もそう思うでしょ!?」



と、何故か田中に話を振った



「お、おぉ…?」



「きよちゃんが龍に田中が例え坊主じゃなくてみも私は田中が田中なら別にいい、って言ったら卒倒するでしょ!?」



流石清水の幼馴染みなだけあって口真似が上手い



「っ!?」



大騒ぎするかと思ったが田中は暫く固まり急に涙を流し始めた




「あたっ!!」



「…………遥音、いい加減な事言わない」



話を聞いていたらしい清水がバインダーで遥音の頭を叩いた



「例え話でしょー?そんな怒んなくても…」



頭をさすりながらぶつぶつと文句を言う遥音



「もう遥音が髪の毛を伸ばしてる理由分かったんだから休憩は終わり」



「えーきよちゃん照れてる?」



「……………」




遥音のジャージを引っ張りながら歩いていく清水




あれは照れてないだろう、それだけは分かる



「お、おう…そうだな」



「練習始めるぞー」




「「「「…ウッス」」」」




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「きよちゃん怒ってるの?」



ドリンク作りをしながら隣にいるきよちゃんに話しかける



「別に怒ってない……………けど」



「うん?」




「遥音が髪を伸ばしてる理由、知らなかった」



ふい、と横を向いたきよちゃんの耳はほんのり赤かった



「き、きよちゃん!!可愛いっ結婚しよう!!」



「!?遥音には菅原がいるでしょ?」



「あー、私が男だったら絶対きよちゃんにアタックしまくるのに!!」



「…バカだね、遥音」







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