×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

「きーよちゃん!!」

突然目の前に広がる黄色

「っな、なに…」
「何って、それはこっちのセリフだよ…何度も呼んでるのにぼーっとしてるし」
「いや、ちょっと昔のこと思い出してた」
「昔の…?」

コルクボードを指さすと遥音はあぁ、と呟いた
あのあと何故かカメラを持っていたお母さんが私と遥音の写真を撮ったのだ
焼き回しをしたらしく私の家と遥音の家にある
私の家にはアルバムに挟んでいてあまり見ることは無いから新鮮だった

「この頃は大変だったなぁ」
「言葉が通じないのが大変だった」
「ねぇー」

あはは、と笑い合うけど当時は本当に大変だった

「でも、幼稚園に通ってからはもっと大変だったからなぁ」
「………」
「まぁきよちゃんが助けてくれたけど」
「おばさんと約束したもの」
「お母さんと?」
「そう」
「へぇ…それは初耳だなぁ」
「約束して無くても私は遥音を助けてたけど」
「き、きよちゃん!!」

遥音が入れてくれた紅茶を飲もうと手を伸ばそうとしたけど隣から抱きつかれてソファーに倒れてしまった

「っちょ、遥音?!」
「きよちゃーん!!大好きだよー!!!」

ぐりぐりと私の首筋に頭を寄せる遥音
柔らかい髪の毛が少し擽ったい

「I like very much!I'm very happy because I can meet you!Please also make the relationship much good now!」
「うん、私も遥音と会えて良かった。」

遥音は興奮すると今でもこうして英語になる事がある
昔と違って私も多少免疫が付いたから聞き取れる
お陰でリスニング力が付いた

まぁ遥音は家では普段から英語で話してるみたいだけど…

「まぁ、もう私が守らなくても大丈夫だと思うけど」
「え?」
「だって遥音にはもう菅原がいるし」
「っ、」

私の言葉に顔を真っ赤に染めた
……私の知らない顔だ
この顔を菅原は見ているんだろうか

「そういえば」
「…?」
「菅原には見せたことあるの?」

私は遥音の金髪を緩く掴んだ

「…ううん、まだだけど」
「ふぅん…」

それを聞いてちょっと優越感
そっか、菅原はまだしらないんだ…

「じゃあ、まだ知ってるのは私だけだ」
「そうだね」
「まぁ今のうちの間だけだろうけど」

そろそろ県外の遠征合宿に行く事になるだろうし
そうなれば必然的にお風呂に入るからこの金髪を皆に見せることになる

「髪の毛染めるのはお母さんがダメだって言って聞かないからねぇ」

自分の髪を弄りながら呟く遥音

「染めていいかって言った時に泣かれて吃驚した…」
「…そうだったの」

げんなりとした様子からその時どれだけ大変どったのかが物語っている

「今更金髪で行くのもなんかねぇって感じだし」
「私は好きだけどね」
「きよちゃんのデレ!?…あいたっ!」

ふざける遥音の額にデコピンをする

「…冗談なのに」
「いいから、早くどいて」
「えー」

未だに私の上に倒れ込んだままの遥音を退かす

「遥音、写真撮ろう」
「写真?どうしたの、急に」
「何となく」
「ふーん…まぁ私もきよちゃんと写真なんて久しぶりだから全然良いけど」

そう言って遥音はスマホのカメラをこっちに向けた

「ほらほら、きよちゃん撮るよー」

顔を寄せあってカメラを見る

「さん、にー、いち」

カシャ、とシャッター音がして写真を確認する

「うん、よく撮れてる!これきよちゃんのケータイにも送っておくね!」
「…うん、よろしく」


もちろん、送ってもらった写真は待ち受けにした
/