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- ナノ -

「スガ、大丈夫か?」
「あぁ、まぁ」

授業が終わり事情を話すと大地も難しそうな表情を浮かべた

「清水はこの事…」
「さっき知らせた」
「そっか」

清水に知らせた時、彼女はやっぱりと言っていた
ということは清水は少なからず遥音の変化に気付いていたということだ

……なんというか、ほんと情けないの一言だ

「放課後、様子見に行ってみるか」
「…そうだな」

大地の気を遣った視線がちょっと堪えた


放課後、保健室に向かうとそこには見慣れ集団があった
やっぱり遥音は皆に好かれているんだということが分かる
眠っている遥音の回りを心配そうにしながら様子を見守っている

清水がベッドの横の椅子に座っていて遥音の手を握っている
何となく後ろめたくなって俺はその中に入れなかった

俺が気付いてさえいれば遥音が倒れる事は無かったんだ
視線を下に向け拳を強く握る


「…ん」
「遥音っ?!」
「あれ…きよちゃん?ここ」
「保健室だよ、倒れてからずっと寝てたんだよ」
「そう、だったんだ…」
「遥音!お前のためにジュース買ってきたんだぞ!」
「俺は帰りにゴリゴリ君買ってやる!」
「あは、皆ありがとう」

清水を筆頭に縁下、田中、西谷と一斉に遥音に話しかける

「もう大丈夫なのか?」
「あ、大地さん…まだちょっとぼーっとしますけど大分楽になりました」
「そっか…あ、これよかったら食べて」
「旭さん、ありがとうございます」

さっき購買で買っていたお菓子を遥音に渡す旭
その流れでポンポンと頭を撫でたのは大地だ

ふにゃりと顔を和らげた遥音は熱のせいか何となく普段よりも幼く見えた
その表情に周りが若干息を呑んだのを俺は見逃さなかった
…俺の彼女だぞ

「…心配した」
「うん、ごめんね、きよちゃん」
「だから朝聞いたのに」
「朝は本当に平気だったの」
「次無理したら許さないから」
「…うん」

ごめんね、と言うと遥音は俺のいる方を向いた
視線が交ざって思わず肩が揺れた

「孝支先輩、なんでそんなところにいるんですか?」
「あ、いや…」

恐る恐る遥音のいるベッドに近づく
すれ違い様に大地と旭に肩を叩かれた

「じゃあ俺達は部活に行くからな」
「今日はゆっくり休んで」
「あ、はい、ありがとうございました」

大地達が部屋から出ていくと清水達も次いで出ていった
保健室に残ったのは俺と遥音の二人きり
何から話したら良いのか迷っていたら遥音の方から口を開いた

「孝支先輩、心配かけてしまってごめんなさい」
「いや、俺が気付いてれば…」
「いえ、私が悪いんです。体調管理が出来ていなかったから皆に迷惑かけたんです」
「……」
「倒れるなんて思ってなかったんです、本当にごめんなさい」

頭を下げた遥音の手を俺はぎゅっと握った
一つ息を吐いて言葉を紡ぐ

「…すげー心配した」
「はい」
「いきなり倒れるし」
「はい」
「清水は遥音の変化に気付いてたのに俺は気付けなかったのが悔しくて」
「…はい」
「いつもと違う顔皆に見せててなんかもやもやしたし」
「……はい?」
「俺の彼女なのに、大地のやつ頭撫でてるし」
「……」
「清水なんてずっと手繋いでたし…」
「……ふふ」
「っ、自分でもカッコ悪いって分かってるから笑うな」
「いえ、嬉しくて」
「嬉しい?」
「はい、だって孝支先輩こうして素直に言ってくれるの初めてですから」
「……遥音にだけだよ、俺も隠し事しないから遥音何かあったらすぐに俺に言って?」
「はい」
「…約束な」
「はい、約束です」

指切りをするために絡めた小指
遥音の小さくて細い小指はまだほんの少し熱っぽかった


→あとがき
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