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「ほんとにどこも怪我してないか?」
「大丈夫ですって…ただの尻餅ですし」
「……そうか?」
「そうです。早く練習の準備に戻って下さい菅原さん」
「どこか痛くなったら直ぐに言えよ?」
「はいはい」

未だに心配してくる菅原さんを軽くあしらいマネ業に勤しむ

チラチラと同じ様に心配した視線を送ってくる残り2人の3年生にも聞こえる声で話す

…本当にウチの部の先輩たちは過保護すぎる気がする(姉を含め)
まぁ確かに少し鈍臭いところはあるかもしれないけどそこまで心配する必要は無いと思う
私だってもう高校2年生だし一応は先輩と呼ばれる立場になった
寧ろ世話を焼くのはこちらの方だろう
それなのにいつまで経っても私に構うのはどうなんだって話になる
怪我をして皆に心配かけたのは悪いと思ってるけど…

周りに気づかれない程度に小さく溜息を零す

私、そんなに頼りないだろうか
もう少し信用して欲しいんだけどな…

体育館の時計を確認すると部活が始まるまでもう15分前になっていた

そろそろ来ていない人たちも来る頃だろうし扉の前にいたらまた誰かにぶつかりかねない
そう思って私は扉の入口から少し離れて救急箱の中身を確認することにした

絆創膏よし、テーピングもよし、包帯もある
消毒液、湿布、エアーサロンパス…
他の物品もある…うん、大丈夫かな

中身を確認し補充しなくても大丈夫そうだと思い救急箱の蓋を閉めたと同時に体育館の扉が勢い良く開いた

そのまま振り返らずにいたら背後から大声が聞こえてきた

「潔香さん!!!!もう大丈夫なんですか!?」
「……西谷、うるさい」
「っ?!?潔香さんからお叱りを頂いた!!!」
「………はぁ」

なんと言うか、私はこの西谷という男子が良くわからない
確かにお姉ちゃんを凄く憧れの対象として見ているのは分かるけど、なぜ私まで?という感じなのだ
姉と同様に扱われるのは正直微妙な心境だ
同級生に敬語を使われるって…

「…西谷だけなの?」
「後から龍と力が来ると思います!!」
「木下と成田は?」
「あの2人は委員会で遅れるみたいっす!」
「…そう…ていうかさ」
「はいっ!」
「敬語、止めてくれないかな?何度も言ってるけど」

そう言うと西谷は勢いよく首を横に振った
…私ってそんなに近づきずらいのかな
クラスメイトにはそこまで敬遠されてないんだけどな

「何難しい顔してるの?」
「…縁下」
「ここ、皺がよってる」

いつの間にか体育館にいた縁下は自分の眉間にトントンと人差指で示した
彼とはクラスも同じなため比較的仲もいいほうだと私は勝手に思ってる

「私ってそんなに近づきずらいかな?」
「は?急にどうしたの?」
「いや、さっき西谷に敬語止めてって言ったらすっごい首を横に振られた」
「…あぁ」
「お姉ちゃんを尊敬してるからっていって私まで同じ扱いなのは変でしょ?私なりに距離を縮めようと思ったんだけど…」
「そう西谷に言ってみたら?」
「…言おうとしたらどこかに行った」

私がそう言うと縁下は眉を下げて笑った
それを見て私も同じような笑みを浮かべた

「田中に至ってはあんまり話しかけれないし…」
「あー…」
「何でだろうね、私整形でもしたらいいのかな」

むにっと自分の頬を引っ張ってみる
うーん…お姉ちゃんと双子に間違えられる事もあるくらいだから造りは悪くないはずなんだけども

「いや、潔香はそのままでいいよ」
「…そうかな」
「うん、あいつらはもういつもの事だし気にすんな」

縁下がそういうならいっか

「はわっ!?」
「……?」

突然の奇声に振り向くと噂をしていた田中がいた

「あ、お疲れ様」
「お、おおおお疲れ様ッス!!」

それだけ言うと田中はさっさと行ってしまった
……解せぬ

「…私、今変だったっけ?」
「いや、普通だったと思うよ」
「……だよね」
「(田中の場合はどうしても清水先輩と潔香を重ねちゃうんだよな)」

…困ったもんだな、うちの2年には

「そう言えば1年生って2人だけなの?」
「いや、あと2人いるよ」
「へぇ…」
「2人ともタッパあるんだけど1人は180超えてるんだ」
「ほー…東峰さんを越えてる?」
「うん」

…それは、是非見てみたいな

「そろそろ来るんじゃないか?」
「そうだね、部活も始まるし」
「じゃあ俺も手伝いして来るわ」
「あ、うん…話に付き合ってくれてありがと」
「いいって、怪我しないように気を付けるんだぞ」
「…了解」


何でみんなして同じ事いうんだ



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