夢をみた それはとても暖かい夢で、出来たら目覚めたくないほど心地の良いものだった 蛍ちゃんに良く似た女の子に私に似ている男の子がいて それを優しい眼差しで見ている蛍ちゃん 夢だって分かっているけど、涙が出てきそうになるくらい幸せで 何年後かにこれが現実になったら私は本当に嬉しい 名前も分からないまだ見ぬ私と蛍ちゃんの子供たち きっと女の子の方がお姉ちゃんで男の子の方が弟なんだろうな 『『お母さん!』』 2人が私の方を振り返って走ってくる 私はしゃがんで両手を大きく広げて2人を抱きしめた 『ねぇ、お母さん』 『『 ____________ 』』 「っ!」 ヒソヒソと私にだけ聞こえるように話しかける2人 最後の言葉を聞いて思わず目を丸くする私を見てにっこりと満面の笑みを浮かべる子供たち 私は言葉を発するために口を開こうとした瞬間目の前が真っ白になった ▼▼▼ 「________っ!」 ぱちりと目を開けるとそこはいつもと何も変わらない天井 隣を見るとまだぐっすりと眠っている蛍ちゃんが規則正しい寝息を立てている ベッドサイドに置いている時計は午前3時を指していた ふと、目元に触れるとそこは何故だか濡れていた 悲しいわけじゃないのに、涙が流れていたようだった 嬉しくて、涙が出たのなんて本当に久しぶりだった なんだか急に蛍ちゃんに引っ付きたくなって眠っているのに悪いなと思いながらも蛍ちゃんの胸に擦り寄った 「……ん、愛乃?」 「あ、ごめん、起こしちゃった?」 私が触れたせいで蛍ちゃんが起きてしまった 私の言葉に別に、とだけ返した蛍ちゃんだったが声が鼻声だったのに気がついたらしく何泣いてんの、と背中に手を回された 「…何でも無い」 「……なに、変な夢でも見たわけ?」 「うぅん、幸せな夢…涙が出るくらい」 「そう」 ギュッと蛍ちゃんの背中に手を回して抱き着いた あの夢がいつか現実になったらいい でも、今はまだ2人の時間を楽しみたいから ちょっと待ってて欲しいな 「…蛍ちゃん、」 「なに」 「将来は子供2人欲しいな…女の子と男の子」 「………は?」 「今は2人でいたいからいいけど、いつか、絶対ね」 「は、え…ちょ、愛乃?」 「………すー、すー」 「…寝てるし」 その後また眠りについた私に対して蛍ちゃんが何とも言えない表情をしていたなんて知る由もないのだった ____________________ 敢えて『 』の中身は何も書きませんでした。 最後の言葉は皆様のご想像におまかせします💧 愛乃ちゃんは良妻賢母になります |