×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -





今日は心待ちにしていた蛍ちゃんとデートの日

会社の人がオススメしていたというお店にご飯を食べに行くとこの前言われてから何度カレンダーを眺めた事か!

嬉し過ぎて昨日の夜から何の服を着ようかとクローゼットの中からお気に入りの洋服を何着か出して
鏡の前でどっちがいいか自分に当てて見比べたりどんな髪型にしたらいいかと考えるだけで楽しかった

蛍ちゃんとのデートはいつだって可愛くしていたい

まぁ蛍ちゃんは可愛い、なんて言ってくれないけどね
蛍ちゃんからデートのお誘いがあっただけでも奇跡に近いのだから!
結婚してからやっぱり社会人として働く蛍ちゃんはまだまだ新人から抜け出せない状態なはず…
そんな中で私との時間を作ってくれるのはやっぱり蛍ちゃんが優しいからだ
本当は休みの日はお家でゆっくりしたいはずだもの

私は昨日の夜に準備しておいた薄ピンクのワンピースに白のカーデガンを着て鏡の前に立っている
そして履く予定の靴はは茶色のニーハイブーツだ

まだブーツは履いていないけど、うん…いいと思う!

「ねぇ、準備まだなの」

部屋の外から蛍ちゃんの声がして
時計を見ると出発する時間の10分前になっていた

「あっ、ごめんね?もう出来たよ!」

ドアを開けて部屋から出ると蛍ちゃんは既に着替え終えていて、黒のジーンズに無地の白Tシャツの上からベージュのカーデガンを羽織っていた
胸元には私が去年プレゼントしたネックレスを付けてくれていた

シンプルだけどオシャレなのはやはり蛍ちゃんの素材が良いからだろう
…やっぱりいつ見てもカッコイイ

「ふふっ!」
「何笑ってんの、気持ち悪いよ」
「蛍ちゃんが私のプレゼント付けてくれてるのが嬉しくて!」
「…別にたまたま他に良いのが無かっただけだから」
「うん、それでも嬉しい」
「愛乃ってホント単純だよね」

プイと横を向いてしまった蛍ちゃんの姿にまた笑みがこぼれる
私が単純なら蛍ちゃんはいつまで経っても天邪鬼だね
そんな所も好きだけど
だって蛍ちゃんの憎まれ口は愛情の裏返しだってちゃんと分かってるもん

「蛍ちゃん、そろそろ出ようか」
「愛乃待ちだったんだけど」
「悪かったって思ってるよ、待たせてごめんね?」
「もういいからさっさと行くよ」
「はーい」

スタスタと先に歩いて玄関へ向かう蛍ちゃんの後ろをゆっくりとついて行く

駐車場までの道のりを歩きながら蛍ちゃんに話しかける

「ねぇ、蛍ちゃん」
「なに」
「今日はご飯食べた後何か用事ある?」
「別にないけど…」
「あのね、今日はいいお天気だから少し歩きたいなって思って」
「…え、」
「お願いっ…蛍ちゃんが疲れたらすぐに帰るから」

久しぶりのデートだもの、ご飯を食べて帰るのは味気ないじゃないか
お家でまったりするのも悪くないけどお外でしか出来ないこととかしたい

「…いいよ、別に」
「ほ、本当?」
「だから良いって言ってるでしょ」
「う、嬉しい!ありがとう、蛍ちゃん!」

車に乗り込んでシートベルトを締める
蛍ちゃんの運転はとっても安全運転だ
…まぁ荒い運転なんて想像つかないけど

ゆっくりと発車して目的地を目指して走る
何気ない会話に蛍ちゃんが相槌を打ちそれに気を良くした私がまた口を開く
元々口数の多い方ではない蛍ちゃんだけど話の内容をちゃんと聞いていて必要な時にはしっかり言葉を返してくれる
どうでもいい話は結構スルーされちゃうけど…
あ、あと都合の悪い話とかも

30分くらい車を走らせて目的のお店にたどり着いた
落ち着いた雰囲気のお洒落な喫茶店だった
どことなくイギリス風の建物で庭には綺麗な花がたくさん植えられていた

「蛍ちゃん見てみて!綺麗な花がたくさん植えられてる!デージーにビオラ、ローズマリーもある!春先に咲く花ばっかり!あ、まだあっちにも…!」
「あー、はいはい分かったから早く行くよ」
「えぇ!」

蛍ちゃんに手を引かれて半ば引き摺られるように店内へ連れられた
もっと色々見たかったのに…!

店員さんに案内され席に着くと直ぐにお冷とメニュー表を渡された
パラパラとメニュー表を見つめる蛍ちゃんに視線を送る
勿論蛍ちゃんはそれに気付いていながらスルーだ

「…職業柄仕方ないのかもしれないけどまずは先に腹ごしらえでしょ。後からでも別に花は逃げないし」
「…まぁ、そうだけど」

むっとしつつグラスに口を付ける
カランと中に入っている氷がぶつかり合って音を立てた

「ほら、むくれてないで早く食べるの決めなよ」
「別にむくれてませんー」
「はは、それ、充分むくれてるから」

…そこで笑うのは反則なんじゃないですか
私は誤魔化すようにメニュー表に目を向けた
どれも美味しそうで迷ってしまうほど種類も豊富だ

「蛍ちゃんはどれにするかもう決めたの?」
「日替わりランチかな」
「へぇ…今日の日替わりランチは和風ハンバーグかぁ。美味しそう…でも私喫茶店のオムライス食べてみたいんだよなぁ」
「いつも自分で作ってるのに?」
「美味しいところの物は参考にしたいもん」
「ふーん」

うーん…どうしよう
定番なのはやっぱりナポリタンなんだけど…
オムライスがデミグラスソースじゃなくてケチャップっていうのも良いんだよね…昔ながらって感じで

「今後の参考の為にやっぱりオムライスにしようかな…すみませーん」

ウエイトレスを呼んで注文を済ませる
店内を見渡すとお客さんもそこまで沢山いるわけじゃなくてゆったりと時間が流れていて落ち着いた雰囲気

「ここ、すごくいい雰囲気だね」
「騒がしくないしね」
「うん」

蛍ちゃんも気に入ったみたい
料理が届くまで何気ない会話をする
ベランダで育ててる花の苗がやっと蕾にまで育ったこと
新しい料理に挑戦中だということだったり
普段忙しくてあまり話せないことを蛍ちゃんに伝える

暫くして料理が運ばれて目の前には美味しそうなオムライスがやって来た
蛍ちゃんの方にも日替わりランチが運ばれてから自分のオムライスに手をつける

「うわぁ…どっちも美味しそう!いただきます」
「…いただきます」

1口パクリと食べると玉子がトロトロで微かにバターの風味がした
中のケチャップライスもすごく美味しい

「美味しいっ…!」
「良かったね」
「うん!…蛍ちゃん、1口どうぞ」

この美味しさは是非とも食べて欲しい
1口サイズお皿から取り蛍ちゃんの方へスプーンを差し出す
しかし蛍ちゃんは嫌そうに顔を顰めた

「ちょっと愛乃」
「大丈夫だよ、誰も見てないから!ほら早くしないと冷めちゃうよ」
「……はぁ」

蛍ちゃんは渋々とスプーンを持っている私の手を掴んで自分の口に入れた

「…どう?美味しい??」
「………悪くないけど」
「だよねぇ!玉子がふわふわのトロトロ!すっごく美味しかったから蛍ちゃんにも食べて欲しくて」
「愛乃はもっとひと目を気にしたほうがいいよ、絶対」
「でもたまにはいいでしょ?デート、楽しみにしてたんだから」
「……はぁ」

お天気も良くて美味しいランチを蛍ちゃんと一緒に食べれて
ほんと、幸せな日だなぁ
目の前に座っている蛍ちゃんを見つめて思わず笑みが零れた


____________________

長くなりすぎたのでここで一旦区切ります…💧
久しぶり過ぎて感覚がよく分からなくなりました