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「け、蛍ちゃん!!」
「………なに」
「な、なんで今日はジャケット用意してるの?!」
「は…?」

蛍ちゃんと一緒に暮らすようになったけど未だに慣れない事がある
それはビシッとスーツを着ている姿を見るとどうも胸がドキドキしてしまうのだ
いつもはジャケットとネクタイは締めないラフな格好で出勤なのに今朝はネクタイとジャケットが出てる

まだ着替えていないのに既にバクバクと心臓が忙しなく動く
そんな私の様子を蛍ちゃんはチラリと視線を寄こして見た

「あぁ、今日は会議が入ってるから」
「か、」
「…か?」
「(…かっこいいぃぃ!!)」

蛍ちゃんがちゃんとスーツを着るのはあんまり無いから見た時の衝撃が半端ないのだ
想像して勝手に脳内で1人悶える

「愛乃、もしかしてまだ慣れてないわけ?」
「……な、慣れる物じゃないと思う」
「ふーん、そう」

目を合わせない私を見て蛍ちゃんは態と視線を合わせるためにしゃがんで言った

「じゃあ、折角だし奥さんにネクタイでも締めてもらおうか」
「ぅえ?!」
「はは、色気のない声」

い、いつもそんなこと言わない癖に!

そう思いながらもネクタイを差し出され反射的に受け取る
青色のネクタイ…シンプルだけど蛍ちゃんに良く似合う
私が選んだ物を使ってくれるんだ…
その事が凄く、凄く嬉しかった

震える手で蛍ちゃんの首に手を回してネクタイを掛ける
首の前に持ってきてまだぎこち無い手付きで締める

いつもは身長差があるからこんなに顔が近づく事は無いけど…
目を合わせない様に手元に集中する

……なんか、凄く見られてる気がするのは多分気のせいじゃないと思う

「…け、蛍ちゃん?」
「なに」
「あの…そんなに見られると、緊張するんですけど」
「そう」

そうって…
いや、あの…出来ればやめて欲しいんですけど

やっとの思いでネクタイを締め終えそっと視線を上げるとバチリと目が合った

「っ!」
「………」

まさかまだ見てたの?!
チラッと見るつもりだったのにバッチリ目が合ってしまった

「ふっ…顔真っ赤」
「えっ!?あ、いや…別に、そんなことはっ」

そのまま顔が近付いて来たかと思ったらちゅっ、と唇に暖かいものが触れた

「け、け…い、ちゃん」
「……じゃあ、いってきます」

そのまま蛍ちゃんはジャケットを着てリビングから出て行こうとした
その背中を暫く放心して眺めていた

「……はっ!い、いってらっしゃい!!」

放心していたけど何とか気を取り直していってらっしゃいって言えた…

私は口元に手を当てその場にしゃがみ込んだ
顔が…発火するかと思った

「……不意打ちは、反則だよ…蛍ちゃん」

キスなんてもう何度もしたはずなのにいつまで経っても慣れない

結婚したら恋愛は終わりって言うけど、そんな事ないと思う
毎日好きが大きくなる

だってずっと一緒に居たいって思うのは蛍ちゃんだけだから



*******

きっとツッキーは着替えの準備は自分でやっていそう…
それよりもツッキーのスーツ姿が見たい!!!!
切実に!!orz