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- ナノ -

にーにの悪夢

「あ、雛乃」
「……」

俺が声を掛けると雛乃は何故か顔を背け2階へ行ってしまった

「…え」

突然の変貌ぶりに俺は唖然とするしか無い
…俺、何か気に障る事したっけ

「なぁ、雛乃」
「……」

返事をしない事も初めてで俺はどうしたらいいのか分からず戸惑う
俺の部屋のベッドに座り込みムッスリとした表情を浮かべている雛乃
ぽん、と肩に手を置くとピクリと反応しその手を払われた

「……ぃで」
「え?」
「私に、触らないで」
「っ!」

キッと睨み付けられてまたもや俺は戸惑う
本当にどうしたんだ、雛乃

「にーになんか大っ嫌い!」
「!?!!?」

だ、大っ嫌い
大っ嫌い…大っ嫌い

な、なんで?俺、なんかしたっけ
ズキズキと頭が痛くなってきた
あぁ、なんか、考えるのも疲れてきた






▼△▼△


「にーに!にーに!」
「……ん、雛乃??」

瞼を開けるとそこに居たのは心配そうに俺の顔を覗き込む雛乃がいた

「にーに、くるしい?」
「え…」
「いたい??」

ポンポンと俺の頭を撫でる雛乃はさっきとは別人のようだ
って言うか、夢…だったのか?さっきの

枕元にある時計を見るとまだ深夜の2:32だった
通りで外が暗いはずだ

「…はぁ」
「??にーに?だいじょぶ?」
「…大丈夫じゃないけど、良かった」

覗き込む雛乃をギュッと抱きしめ布団の中に入れる

「…にーに、げんきない?」
「んー、雛乃をギュッてしてたら元気出るかも」
「じゃあひながぎゅーってしたげるね」
「うん、ありがと」

軟らかい石鹸の香がしてそれが酷く安心させた
夢だって分かっても、落ち着かないな
そういえば、夢の中の雛乃は今よりも少し大きかった様な…
舌っ足らずな感じも抜けてたし

……将来、雛乃が思春期になったりしたら大っ嫌いとか言われるのか?
今のうちから心の準備をして置かないといけないな

「……なぁ、雛乃」
「んー?」
「俺の事、嫌い?」
「にーにのこと?」
「そう」
「ひなはね、にーにのことだいしゅきだからね、きらいになったりしないよ、ずっとずっとだいしゅきよ」
「…そっか」
「うん、にーにはひなのこときらい?」
「そんなことあるわけないよ、俺は雛乃のこと好きだよ」
「えへ、じゃあ…ひなとにーにはずっといっしょね」
「…そうだな」

もう1度雛乃をギュッと抱きしめ頭を撫でると次第に寝息が聞こえてきた

…どうか正夢になりませんように
そう心の中で想い、再び瞼を閉じた

今度は良い夢が見られる事を願って


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