君と私の物語 | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -




開いた扉の方向をみると


そこに立っていたのは今まで考えていた人物、菅原君が立っていた


!?


突然の展開に着いていけず思わずそのまま固まってしまった



な、何でここに菅原君が!?



あの姿からして今は部活帰り?

あれ、でも3年ってもう引退したんじゃ…


そんな私の思いとは裏腹に真っ黒なジャージを着ている彼はずんずんとこちらに向かって歩いてきた



え、え…?


なんでこっちに歩いてくるの!?




「あの!!」



「はっはひ!?」



彼に声を掛けられて声が裏返ってしまった



うわぁ…変な声出ちゃった!!

穴があるなら入りたいっ…!



「オススメの本教えてくれない!?」



菅原君はそんな私なんか気にもとめず言葉を続けた



「へ?オススメの本…ですか?」



なんだ、すごい意気込んでいたからてっきりなんか苦情でも言われるのかと思った



「えっと…オススメって言うと今月の図書だよりに載っていたものがあそこの棚に…」



私がそう言うと菅原君はフルフルと首を振った



「?」



何が違うんだろう




「えっと、君のオススメの本を教えて欲しくて」



「わ、私の…ですか」




私がそう言うとコクリと頷いた



「分かりました…」



私がカウンターから出ると彼も後に続いた



そして私が一冊の本を取り出そうとした時、何かが引っかかった



なんだろう…既視感



そこで私は後ろにいる彼を振り返った


「…あの、」



「ん?」



彼はにっこりと笑って次の言葉を促した



「えっと 、勘違いだったら申し訳ないんですけど…前にも、こんな事ありました…か?」



私がそう言うと菅原君は目を見開いた


うわ、私の馬鹿っ!!


「ご、ごごめんなさい!私の勘違いみたいで!!」



何変なことを言ってるんだ私は!



「いや!違うんだ!覚えててくれたんだと思ってびっくりして…」



「え?」


どういう事?
私と菅原君は面識あったってこと?
……ん?なんか混乱してきた



だって私が彼を初めて見たのは去年の夏だったはず、だよね?



あれ?そもそもそれが間違いで


私と菅原君は一年生のときに会ってたって事…?
そう言えばそんなことがあったような…



「あの時は本当にありがとう」



彼はそう言って頭を下げた



「!?そ、そんなお礼を言われるようなことしてないので!」



「いや!松元さんが勧めてくれた本、凄く面白くて感想文もすぐかけたから!ずっとお礼を言いたかったんだ」



「そんな!私は本当に……ん?あれ??どうして、私の名前」



菅原君は、私の名前なんか知らないはずなのに



私がそう言うと菅原君は頬をかいて視線をそらした


「あー…実はパソコンに何か打ち込んでた時に図書委員の名前の欄に松元依伽って書いてあったの見て…」



「あ、そ…そうなんだ!」



菅原君が私の名前を知っていた

私みたいな地味な子の名前を把握していたなんて…


胸がきゅっとなってちょっと苦しい



「俺、菅原孝支!」


「え?は、はい…」



知ってますとも!!


私は彼の続けた言葉を聞いて夢じゃないかと思って思わず自分の頬を抓った






『もし良かったら俺と友達になってくれませんか?』



……いたい

これって私の都合の良い夢なんかじゃないって事だよね??
<<>>