君と私の物語 | ナノ
×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



公園には小さい子供たちやカップルが何組かいたりして、私たちも傍から見たらそうな風に見えたりするのかな……

いやいや、何考えてるんだ私はっ!
ちょっと浮かれすぎだと自分に喝を入れ気を取り直して隣にいる菅原君に声をかける

「菅原君、行こう!」
「結構人いるけど思ったよりいないからゆっくりできそうだね」
「うん!」

足早になりそうなのを堪えて菅原君と歩幅を合わせて歩く
…まぁ実際は私に菅原君が合わせて歩いてくれているんだけども

動物達が飛び越えられない程度の柵の中にはたくさんの動物達がいた

「わぁ!いっぱいいるね」
「こんなにたくさんいるんだな」
「見てみて菅原君、子猫だよ」

足元に擦り寄ってきた子猫を抱き上げる
みゃーみゃーと鳴く子猫を撫でてやると今度はゴロゴロと喉を鳴らす
そんな子猫の様子を見ると和やかな気持になる
やっぱり動物と触れ合うのって凄く大切だと思う

名残惜しいけれど子猫を離した後キョロキョロと辺りを見回すとお目当てのうさぎが…

「す、菅原君、あっちに行ってもいいかな?」
「ん?勿論、あ、うさぎ」

菅原君は私の視線の先にいたうさぎを見つけ納得した様に呟いた
うさぎのそばまで行きしゃがんでそっと抱く

暴れることもせずただじっとしているうさぎ
膝の上に乗せて撫でると気持ちよさそうに顎をちょこんと私の膝に乗せてきた

か、か…かわ、かわいぃぃっ!!!
な…なんだろう!この可愛さ!!
やばい、やばいよ!!

「す、菅原君…」
「ん?」
「か、かわいいは、正義!」
「っぷ!」
「へ?」
「くくっ!あはは!松元さん、はは!サイコー」
「な、なんで笑うの!?可愛いでしょ?!」
「うん、可愛いよ」
「っ!」

菅原君があまりにも、優しい顔をして笑うから
それが自分に向けられたものだと錯覚してしまう
菅原君は、うさぎを見て笑っているんだから

「可愛い」

菅原君はもう一度同じ言葉を繰り返した

「で、でしょ?」
「うん松元さんが、凄く可愛い」
「な、何言って…」

顔が赤くなるのが分かる
熱が、血液が顔に集まって来るのを感じる

間に受けちゃダメ、期待したら、ダメ
そうだ、冗談だ
菅原君は私をからかっているんだ
じゃなきゃ私みたいなこんな地味な女に可愛いなんて、言うわけない

私はグッとうさぎを撫でている手を握りしめ震えそうになるのを必死で抑えて口を開く

「菅原君、そう言うのは、ちゃんと好きな子に言わなきゃ……私みたいな女にそんな事言うと勘違いされちゃうよ?こんな地味女を可愛いなんて…」
「地味じゃない」
「え?」
「松元さんは、地味じゃない」

あまりにも真剣な声色で話すから私は思わず顔を上げてしまった
私の方を向いていた菅原君とは必然的に視線が絡み合った

「松元さんは、可愛いよ」
「す、すがわら、くん」

真っ直ぐな視線で見つめられて金縛りにあったかのようにその場から動けなくなった

「俺さ、松元さんの事が好きだよ」
「な、に」
「ごめんね」

私はどうしたらいいのか分からなくなった
また、自分の都合の良い夢?
夏の暑さにやられてしまったんじゃないかと思った
だって、そんなこと有り得ない
それに、ごめんって何?どういう事?
分からない…分からないよ、菅原君


<<>>