君と私の物語 | ナノ
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約束の時間よりも30分も早く来てしまった
何度も何度も鏡の前でおかしい所は無いか確認して、お姉ちゃんに合格をもらってもソワソワとして落ち着かない

自分が普段では絶対に着ない夏らしいスカイブルーのサマーセーター
今回はアウトドアという事もあって下はキュロットだ
動きやすいのに可愛らしさもあるという…お姉ちゃん流石です
いつもは黒とか目立たない色の服しか着ないからどうにも挙動不審になってしまう
しかもキュロットの丈が短い…
あぁ、短足の癖に足なんかだしてんじゃねぇよとか思われちゃったらどうしようっ

俯き自分の足元に視線を落とすとお気に入りのミュールが覗いていた

『何よりも自分が楽しむことが一番よ!』

朝、家を出る前にお姉ちゃんから掛けられた言葉

「楽しむことが、一番…か」

うん、そうだよね
こんな機会滅多にないんだもの
楽しまなきゃ損だよ

気を取り直して時計を見ると時刻は待ち合わせの15分前になっていた


****


「っ!ごめん、松元さん!遅くなった!」

菅原君がやって来たのは待ち合わせの5分前だった

「まだ待ち合わせの時間には早いからそんなに急いで来なくても良かったのに…」
「いやっでも…待たせた事には変わりないし!」

若干息が上がっている所を見ると私の姿が見えて待たせたら悪いと思って走って来てくれたんだろう
そんなに走って来なくても気にしないのに

今日はいつもより暑いから走って来た菅原君は既に汗だくで頬も上気していた

そんな彼に私は自分のハンカチを当てた

「っ!?」
「今日は暑いから、脱水には気を付けないとね」

ニッコリと出来るだけ自然に微笑めば菅原君は更に顔を真っ赤にさせた

「い、いや…悪いって!俺、汗臭い?!」
「?…いや、そんなことは無いけど」

そう言って菅原君に自分のハンカチを手渡した
菅原君はおずおずと受け取ってごめん、と呟いた

「…そういえばさ、松元さん今日化粧…してる?」
「え?!あ、いや、これは…その、お姉ちゃんがっ!」

しまった!
すっかり忘れてたけど今日はお姉ちゃんが折角だからといって薄ら化粧をしてくれてたんだった!

ひ、引かれたかな…?
男の人って化粧の臭いが嫌いだって言う人もいるみたいだし…

「うん、似合ってる」
「っ、」
「服も…凄く」

今度は私の方が赤くなる番だった
菅原君、これは狙っているのかな?
天然だったら凄いよ、これは…
しかも眩しいあの笑顔付きだ

私は赤くなった顔を隠すように両手で頬を押さえた

「す、菅原君も、私服すごく、カッコイイよ」

絞り出すように出した声は頼りなく菅原君に届いたか分からないけど
嬉しそうに笑う彼を見たところ、私の声は彼に届いたみたいだ

「ありがと、じゃあ…行こうか」
「…うん」


私の心臓、今日1日大丈夫かな…?
ドキドキし過ぎて死んじゃうかもしれない
まだ始まってすらないのに既に不安で押しつぶされそうになった

***
あとがき

もはや既にバカップル状態
早く付き合ってしまえっ!

……スガさんの私服はみなさんにお任せします
きっと彼は何を着ても爽やかなイケメンです
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