君と私の物語 | ナノ
菅原君に送ってもらった日の夜、メールが届いた
ご飯とお風呂を済ませ、くつろいでいた時メールの受信を告げる音がして何気なく差出人を見た時の動揺は凄かった
まさかその日のうちに来るなんて思っていなくて…
予想外の出来事に勉強机の椅子に座っていた私は思わず滑り落ちてしまった。
下の階にいたお母さんから五月蝿いっ!と怒られた
でも、お母さん…これは仕方ないよ
だって菅原君からの初メールだよ!?
これが落ち着いていられるわけないじゃない!!
…まぁ、こんなこと恥ずかしくて言えないけどさ
メールの受信ボックスを震える手で開き内容を確認する
[松元さん、日曜日の事なんだけど
その日に丁度ふれあい動物パークが隣町の公園であるみたいなんだけど、動物とか好き?
もし良かったらそこに行かない?]
ど、動物!!
え、どうしよう、凄い楽しみ!
ウサギとかいるかな?!
もふもふの子たちがいたら凄く嬉しい!
[私、動物好き!是非行きたいです!!]
そう返信して携帯を閉じる
…返信した後だけど、短すぎたかな?
絵文字とか入れれば良かったかも…!
普段からそういうのしないからつい癖で飾りっけない文になってしまった
そんな事を考えていたら再び携帯がメールを受信した事を告げた
[よかった!じゃあ日曜日の10時に○×駅の前で良いかな?]
[うん!楽しみにしてるね(・∀・)]
「こ、これでいいかな?おかしくないよね?」
そう返信して携帯を閉じた
最後に辛うじて顔文字を入れてみたけど…
大丈夫だよね!うん、大丈夫!!
メール送信完了の文字を眺め残りの問題は服装だったという事を思い出した
時間は9:40
お姉ちゃんも帰ってきてくつろいでいる頃だ
自分の部屋の向かいにあるドアをノックすると部屋の主から返事が返ってきた
その声聞いてドアを開けるとそこにはパックをしたお姉ちゃんの姿があった
「あれ依伽じゃない、こんな時間にどうしたの?」
「あ、えっと…」
洋服を貸して欲しい、とどもりながら伝えるとお姉ちゃんは口をぽかんと開けてこっちを見た
「いや、駄目だったらいいの!私の部屋にあるので探すから、ごめんっ」
早口でそう言って部屋から出ようとしたら腕を掴まれた
勿論、そんな事が出来るのは1人しかいない
「依伽!デートね!?!?」
「っ?!な、なななっ…!」
キラキラと目を輝かせながら距離を詰めてきたお姉ちゃんにたじろぐ
「もー水臭いわねー!そういう事なら早く言いなさいよ!で?誰とデートなの?」
「で、デートじゃないよ…友達と遊びに行くの」
「だったら別に自分の服でいいじゃない。でも依伽は態々私の部屋まで来て服を借りに来た」
「……」
「ということはただの友達じゃない、お洒落な友達と遊びに行く可能性は低い…となると依伽の好きな人もしくは彼氏とデートだということになる」
びしっと人さし指を指してお姉ちゃんは言う
「か、彼氏じゃないよ…私が勝手に好きなだけなんだし…」
「あらあら!!顔真っ赤にしちゃってー!可愛いわねぇ」
「…可愛いわけないでしょ、私はお姉ちゃんみたいに美人じゃないのくらい分かってる」
「馬鹿ねー見た目の話じゃないわよ。恋する少女はみーんな可愛いくなるもんなのよ」
そういうものなのかな…
「まぁ、依伽は私なんかよりもずっといい子だからいい男と付き合って欲しいワケよ。贔屓目に見てもあんたはいい女よ」
「…そんなこと言うのお姉ちゃんくらいだって」
「褒められた時はありがとうって言うのがいい女の嗜みよ、覚えときなさい」
「…ありがとう?」
私がそういうとお姉ちゃんは満足そうに頷いたのだった
「じゃあ気合入れて選ばないとね!お姉ちゃんに任せなさい!」
「う、うん…よろしく」
パックを剥がし仁王立ちするお姉ちゃんを見てちょっと心配になったのはここだけの話だ
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