君と私の物語 | ナノ
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素敵な提案をしてくれたあの日から菅原君と私はお互いに読んだ本の感想を言い合うのが習慣になった

といっても私達3年は受験勉強を頑張らないといけないので息抜きをする合間にしか読めてない
だから感想を言い合うのはまだ2回程度だ
比較的読み易い薄い本を勧めたりしてるので早く読み終わったって菅原君が言ってくれて嬉しかったのはここだけの話

菅原君は私がカウンター当番の日は結構来てくれて一緒に勉強したり、息抜きに本を読んだりしてる
この空間を共有しあえることが私にとって一番嬉しいことだった

最初の頃は菅原君が図書室に来る度にドキドキして落ち着かなかったけど今では普通に会話出来るくらいまでにはなった
それでもあの笑顔を向けられると今でも挙動不審になっちゃうんだけどね…

今日は2人で課題に取り組んでいる最中

菅原君は頭が良くて教え方も凄く分かり易い
私も一応進学クラスなんだけどな…
ちょっと凹んだ

「松元さん?」
「うぇ?!な、なにかな!?菅原君!」
「なんかボーっとしてたみたいだから、分からない所でもあったのかなって」
「う、ううん!今のところ大丈夫!」
「そっか、何か悩み事?」
「え?…いや、悩み事って程じゃないんだけどね」
「うん?」
「私達、お互い進学クラスだけど今まで1回も同じクラスにならなかったなって」
「あー」

私の言葉に菅原君も確かに、と言って笑った
そうなのだ。私達は進学クラス同士なのにも関わらず同じクラスにはこの3年間一度もなったことが無かった

「俺、大地とは3年間同じクラスだったなぁ」
「そうなんだ…(羨ましい)私も仲いい子と3年間同じだなぁ」
「そう考えるとある意味凄いよな」
「…うん」

だって2分の1の確率なのに見事に外れるんだもん
まぁ、こうして接点持てただけでも十分だけどね

「そう言えば松元さんって将来何になるとかもう決めてんの?」
「うん、私司書になりたいの」
「へぇ…なんか、すごくらしいね」
「…そう、かな」
「うん」

まぁ、本の虫だっていう自覚はあるからなぁ…

「菅原君はもう進路決めてるの?」
「うーん…俺は何ていうか、まだぼんやりとしか…」
「そっか…でも菅原君教え方とかすごく上手だし先生とか向いてるかもね」
「…そうかな?」
「うん、あと凄く面倒見が良いなって思う」
「?」
「この前菅原君が後輩達と一緒にいるところ見たんだけどみんなすごく菅原君のこと信頼してるみたいだったし、対応にも慣れてるみたいだったから」
「松元さんいつ見てたの?」
「火曜日のお昼頃かな?図書室に忘れ物を取りに行ったときに外周してるところを見かけたの」

私の言葉に菅原君はああ、あの時の…と呟いた
その時の菅原君はあの夏の日と変わらずキラキラしてた

「それに菅原君副部長もしてたんでしょ?」
「あ、うん」
「責任感もあるだろうし、ピッタリだなって」

誰にでも出来る事じゃないと思うんだ、そういうのって

「あ、でも別に菅原君に理想を押し付けようとかそういうのじゃないの、全然!」
「いや、参考になった。ありがとう」
「ううん、参考だなんて、そんな…」

私はただ自分の思ったことを言っただけだ
菅原君の教師姿を頭に浮かべてブンブンと振り払った
良いけど、凄く似合いそうだけど!
それを上回るのは羨ましさだ
菅原君に授業してもらえるなんて羨ましすぎる

…というか菅原君が先生になるなんてまだ一言も言ってないのに、馬鹿か、私は


菅原君が隣にいても大分テンパらなくなった今日この頃
私にしては大きな第一歩だと思う
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