君と私の物語 | ナノ
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電車に乗って目的地の公園へ向かう途中、やっぱり菅原君は車道側を歩いてくれた
歩いている時も会話が途切れる事はなくて…
菅原君の彼女になれる人は凄く幸せだと思った
こんなにかっこ良くて爽やかで、気さくで頭が良くて
本当に挙げだしたら切りがないくらいだ

「ん?どうかした?」
「あっ!いや、もうそろそろ公園に着くでしょ?楽しみだなって!」

じっと見つめていた事に気付かれ咄嗟に嘘をつく
そんな私の嘘を疑いもせずに菅原君はそっか、と笑った

「松元さんはどんな動物が好きなの?」
「小動物は何でも好きだけどやっぱりうさぎが1番好きだなぁ」
「うさぎかぁ…餌をちょびちょび食べてんのとか可愛よなー」
「だよね!私小学校の頃とか飼育委員の友達と一緒に餌やりとかしててね、凄く可愛いの!お昼休みのギリギリまでうさぎ小屋にいて掃除に遅れそうになったりして…ふふ」

その時のことを思い出して思わず笑みが零れる
高校ではうさぎ小屋無いからなぁ…

「小学校の頃の松元さん、見てみたかったなぁ」
「えぇ?!」

突然の菅原君の発言に目を丸くする

「私の小学校の頃なんて今と同じ地味ーな感じだよ、変わらなさ過ぎて逆に吃驚しちゃうよ」
「そうかな?俺は今まで1度だって松元さんの事地味だなんて思ったこと無いよ」
「え!?それって…」
「あ、ほらあそこの公園」

どう意味か聞こうとしたけどタイミングが悪かった
…あぁ、どうしてもう着いちゃうのかな!

「うさぎ、居るといいな!」
「っうん」

まぁいいや、あんまり高望みするもんじゃないし
こうして一緒に出掛けられるだけでも奇跡みたいな事だ
とにかく今は楽しもう!

ふと目に入ったのは触れ合いそうで触れない私と菅原君の手

きっと彼女だったらこの手を取って歩くんだろうな…
私は自分の手のひらをきゅっと握った

このもどかしい距離が今の私と菅原君を表している様だった


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