君と私の物語 | ナノ
松元さんと話すようになってから図書室に通う頻度が増した。
今まで図書室に足を運んだ事なんて片手で数えきれる程度だったのに今じゃ両手を使っても足りない
今日だって息抜きに出てきた部活の帰りに図書室に寄って勉強をする予定だ。
彼女がカウンター当番の日は多分ほとんど行ってるんじゃないかな…
我ながらあからさますぎるのはわかっているんだけどやっぱり彼女とは少しでもいいから距離を縮めて行きたいんだ。
「スガ、今日も図書室に寄るのか?」
「ん?ああ、そのつもり」
「俺も行ってみようかな、スガの想い人に会いに」
「ちょ!?バカ、大地!!」
「え?!スガ、好きな人いたの!!?」
まだ周りには少人数と言えど居るというのにこの男は!
焦る俺を見てけらけらと笑っている
旭なんか大声で言いやがって!
「松元さん、だっけ?確か」
「……ああ」
「?…松元さんって松元依伽さん?」
「え、」
「旭、知ってんのか?」
何で旭が彼女の事を知ってるんだ?
お世辞にも彼女は目立つ感じじゃないのに
もしかして旭も彼女の事を…?
「俺さ、前図書室で借りた本の期限を過ぎたことがあって、その時にわざわざ俺のクラスまで知らせに来てくれたんだ。」
大地の言葉に少し笑みを浮かべて旭が言った
「でも、それだけなのに何で覚えてたんだ?」
本が延滞してることを知らせに来ただけなのに
「ほら、俺ってさこんなんだからクラスの女子は違うけど基本的に女子には怖がられて話し掛けられる事なんてないだろ?なのに彼女は全くそういうの無かったから印象に残ってたんだ」
「…へぇ」
なんか、松元さんらしいな
見た目で人を判断しなさそうだし
旭も彼女の事は別にそういう目で見ていなさそうだ
内心ちょっと安心した
「良かったな、スガ」
「な、何がだよ!?」
「旭と好きな人が被ってなくて」
「もうほんとなんなのお前!」
「ははは!」
くそ、大地のやつ完全に楽しんでる!
しかも心の中読まれてるし!!
「スガはなんて松元さんのこと好きになったんだ?」
「あー!もう、良いだろ、この話は!別に俺がいつ誰のこと好きになろうがお前らには関係ないだろ?!」
こんな話をしている時にでさえ彼女の顔が脳裏にちらつくんだから俺はもう本当にどうしようもない
「俺、もう行くから!!」
「お疲れー」
「おー、じゃあなー彼女によろしくなー」
「大地!」
ニヤニヤしている大地の顔をひと睨みして俺はその場を走って去った
…他人事だからって言って遊びすぎだ
いつかあいつに好きなやつが出来たら絶対やり返してやる、覚えてろよ
とにかく今は図書室に着く前にこの赤くなった顔をどうにかしなければ
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