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秋、それは季節の変わり目であり寂しさを感じる時期でもある。
だけど、私は四季の中で1番秋が好きだ。

芸術の秋
スポーツの秋
読書の秋

色々あるけど中でも絶対に外せないのはもちろん食欲の秋!

秋は美味しい食べ物で溢れていてついつい食べすぎてしまう。
この時期にしか食べられないもので溢れてしまっているのが最近の悩みなのです。


とまぁ前置きが長くなってしまったけど私は今とっても重要な場面に出くわしているのだ

学生にとってのメインイベントにも入る体育祭
私は運動は得意じゃないからはっきりいうと中学生の時は憂鬱で仕方がなかった

けど今年は違う

何としてもやらなければならない種目があるのです!!


「―――じゃあ、パン食い競争に出たい人男女1名で」
「はいっ!!」

言い終わらないうちに挙手をした私はクラス中の視線の的
でもそんなことくらいじゃ揺るがないよ、私は!
私の気迫に負けたのか
体育委員の2人はじゃあ、女子は近衛さんで良いですか…と皆の意見を聞いて黒板に名前を書いた

やったぁ!!

嬉しくて何故か達成感で溢れた私はそのまま机にだらんと手を伸ばした

その後は着々と参加種目を決め、なんとか授業時間内に終わった
ほっこりした気分で下校の準備をしていたら不意に頭に手を置かれそのまま掴まれた。痛くはない

「蛍ちゃん??」
「さっきのあれ、なに」
「あれ?」

こんな事をするのは1人しか思い当たらなくて取り敢えず確認の為声をかけるとやっぱりあっていたみたい

「参加種目のこと」
「ああ!」
「さっきの愛乃ちゃん凄かったよ」

ははは、と笑うのは忠君だ
後ろから頭を抑えられて見えないけど

「どんくさいのにパンなんか咥えて走れるわけ?」
「大丈夫!転けてもパンだけは絶対に死守するから!」
「いや、自分の安全を第一に考えなよ」
「パンだけは譲れないよ!」

そう、パン食い競争に私がこんなにも必死になっているのには勿論理由かある

「あのね、委員会で一緒の先輩が教えてくれたんだけど
烏野高校のパン食い競争には普段売店にも並ばない幻のパンが出るんだって!
なんでも数量限定の物らしくてすっごく美味しいんだって!
その先輩去年それを知らないでいやいや参加したけど、幻のパンの為に今年も参加するらしいの。その話を聞いてそれは是非私も食べないといけないと思って!」

だって来年は皆がそれを知ったら人気種目になってしまって参加出来ないかもしれないし

そう付け加えると蛍ちゃんは頭上で溜息をついた
やっと頭から手を離してくれたので振り返ると予想通りそこには呆れ顔の蛍ちゃんがいた