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あれはいつのことだったかもうだいぶ前の話でよく覚えていないけど、今思えばこの頃からずっと愛乃は僕にとってなくてはならない存在だった



「けいちゃん!」
「なぁに?」
「今日ね、おねーちゃんがケーキ買って来てくれたの!いっしょに食べよう?」
「うん!」


僕の家に上がってくるなり笑顔でそう言う愛乃
当たり前のように僕に笑いかけ手を差し延べる
それを笑顔で手を取り愛乃の家に向かう

この時は僕も今よりだいぶ素直だったと思う
名前に"ちゃん"付けだし
………今じゃ絶対にありえない話だけど


「けいちゃんはショートケーキでしょ?愛乃はねーチーズケーキにするの!」
「愛乃ちゃんはチーズケーキ食べたことあるの?」
「うん!この前お母さんといっしょにデパートに行ったときに食べたの!
すっごくおいしかったの!だからけいちゃんにもあげるね!」
「…じゃあ僕も愛乃ちゃんにショートケーキあげる」
「ほんと?!ありがとー」


愛乃の家についてから言われる前に手洗いとうがいを済ませてリビングへ向かう


「おかーさん!ケーキ!! 」
「あら、愛乃、お帰りなさい。ちゃんと手は洗ったの?」
「うん!!みてみて!ほら、ピッカピカ!」


そう言って愛乃は母親に向かって両手を見せて得意気にしていた


「蛍ちゃんは?ちゃんと洗った?」
「うん、洗った」


愛乃の手を見終わった後に同じように僕にも愛乃のお母さんは言った
僕は控えめに手を見せると愛乃のお母さんは目線を僕に合わせる様にしゃがんでくしゃりと頭を撫でた


「よし、二人とも偉い!じゃあお待ちかねのケーキだね!」
「あっ!けいちゃんだけズルイ愛乃も!!」
「はいはい」


頭を僕だけ撫でたのが気に入らなかったのか、愛乃は自分も撫でてくれと強請っていた

仕方ないわね、そう言って頭を撫でる愛乃のお母さんの表情はとても柔らかいものだった


リビングにあるテーブルまで行きイスに座る
僕の隣に愛乃は座った


ものの数分で運ばれてきたケーキと愛乃のお母さんお手製の甘いカフェオレ
僕はケーキを食べるときは必ずといっていいほど出てくるこのお手製のカフェオレが特に好きだった


自分の好物とお気に入りの飲み物
二人とも目を輝かせて並べられたそれを見つめていた