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運動部の僕と帰宅部の愛乃のとでは足の早さは歴然
部室の階段を降りた20mほどで追いついた
僕は走る愛乃の腕を掴んだ
「は、離してっ…蛍ちゃんなんかもう知らないもん!!
……そ、そのグラマーなお姉さんと一緒にいたらいいじゃない!!」
こっちを睨みながら言う愛乃の表情は全くと言っていいほど怖くない
むしろ狙っているとしか思えない
本来ならばここでからかうんだけど生憎今そんなことをしたら愛乃は口を聞かなくなるだろう
流石にそれはいけないと僕も分かっているため口にはしない
何も言わない僕に対して愛乃はポロポロと涙を零す
「っ…なんで、何も言わないの??子供っぽい私なんてっ嫌になっちゃったの…?」
「だから違うって」
「なにが違うのっ?…だって土曜日に私が誘った時に用事があるって…っ
用事って…っその女の人と、会う約束してたんでしょ?」
もうこれ以上黙ってる訳にはいかないな…
本当は当日まで黙ってるつもりだったんだけど
「…西谷さんが言っていた女の人って愛美さんだから」
「…え??」
僕の言葉にポカンと口を開けて固まる愛乃
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