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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -
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愛乃と由紀が話をして数週間が経った頃





愛乃は未だに胸が締め付けられる理由がわからないままだった





ただそれが起こるのは決まって彼女が月島の近くにいる時だ






「愛乃、帰るよ」





「あ、うん」






気が付くと月島が目の前にいた






今日は部活が休みで久しぶりに二人で帰る事になっていた






いつもなら喜んで早く放課後にならないかと待ち遠しいはずなのに何だか今日は気分が上がらなかった






「愛乃もしかして具合でも悪い??」






いつもより大人しい様子の愛乃を不審に思い顔を覗き込んだ






「ううん!!全然平気だよ?ほら、帰ろう?」






いつの間にか教室には人がいなくなっていて愛乃と月島の二人だけになっていた






二人で廊下を歩いている時






不意に後ろから声を掛けられた






振り返ると、そこに立っていたのはこの前愛乃を呼び出した女子生徒だった





「あ、あの…月島君…今時間良いかな??」






頬を真っ赤に染めながら俯く彼女に愛乃は驚いた





月島はそんな愛乃を横目で見ながら女子生徒の方へ歩き出した





「…わかった」






「……え、」







今までこういことが無かった訳ではない前もこうして月島が呼ばれることはあった






でも、そういう時は決まって月島は断っていた






その為今回の出来事は愛乃にとって予想外だった







「…愛乃??」






「…え?」






歩き出した月島がこっちを振り向いた






「歩けないんだけど」






月島に言われて愛乃は初めて気が付いた







月島の制服を無意識に掴んでいた手をパッと離す






「ご、ごごめん!!じゃ、じゃあ私先に帰ってるね!?」







そう言って二人の傍から離れようとすると月島が愛乃の手を掴んだ