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「……僕の彼女になんか用ですか」
私を引き寄せたまま二人組を睨む蛍ちゃん
「っち、なんだよ彼氏持ちかよ」
1人の男がそう呟くと去っていった
ポカンとそのまま固まっていると上から盛大なため息が落ちてきた
「愛乃はさ、もう少し周りを見た方がいいよ
この歳になって迷子って…」
「うん、ごめんね…迷惑ばっかりかけて」
汗をかいている蛍ちゃんを見るとたくさん走り回って私の事を探してくれていたという事が分かって
私はなんだか申し訳ない気持ちでいっぱいだった
巾着からハンドタオルを取り出して蛍ちゃんの汗を拭く
「いっぱい走って探してくれたんだよね??
…ありがとう、蛍ちゃん」
「別にそんなに走ってないし」
「そっか」
蛍ちゃんの言葉が嘘だって気がついたけど
私に気を遣わせないように言ってくれてるっていうのがわかったから私はもう一回ありがとうと蛍ちゃんにお礼を言った
「あ、そろそろ花火大会始まるよ?
行こう、蛍ちゃん!!」
そう言って一歩踏み出した時、足元の石に気が付かずこけてしまった
「あっ!!」
思いっきりこけたため膝がヒリヒリしている
これは確実に怪我をしていると思う
でも、折角来たんだから花火を見たい
そう思って立ち上がろうとしたら足元がふらついた
またこけると思いギュッと目を瞑る
……あれ?
いつまで経っても衝撃が来ない事を不思議に思い恐る恐る目を開けるとそこには蛍ちゃんがいた
「急に動き出すからこうなるんだよ」
「ご、ごめんね…」
目線を下にずらすと目に入ったのは足元の下駄
鼻緒が切れてしまっている
だからさっき立ち上がった時にふらついたんだ…
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