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「蛍ちゃん!!」
私の存在に気がついた蛍ちゃんはヘッドホンを外してこっちを向いた
「ごめんね、準備が遅れて時間過ぎちゃった…
………蛍ちゃん??」
私を見たまま動かない蛍ちゃんを不審に思い顔を覗き込む
「どうかした?……はっ!!
もしかしてこの浴衣似合ってない!?
着付けはお母さんがやってくれたから大丈夫だと思うんだけど…」
ショックだなぁ…
高校生になったから去年のやつよりオトナっぽい柄を選んだのが間違いだったのかなぁ
去年は白地の浴衣に金魚の模様だったけど今年は黒地の浴衣に紫と青い花柄の浴衣にしてみた
けど、どうやら蛍ちゃんには不評みたいだ
「なんか勝手に1人で百面相してるけど愛乃が思ってるような事思ってないから」
「……と、言いますと??」
「…良いんじゃない、馬子にも衣装で」
くるりと背を向けて歩き出す蛍ちゃんに慌ててついて行く
斜め前を歩く蛍ちゃんを見上げて思わず頬が緩む
「何、にやにやしてるわけ??」
「ふふ、何でもない!」
だって言ったら蛍ちゃんは絶対に認めないでしょう?
耳が真っ赤になってるって事は少しは良く思ってくれてるって事だよね?
「ほら、とろとろ歩いてないで早く歩きなよ」
「うん!」
斜め前にいる蛍ちゃんの隣まで行って左手をギュッと握る
蛍ちゃんは暑いんだけど、って言いながらも手を振り払わない所を見るとそのままでも良いみたい
「早く行こう蛍ちゃん!私りんご飴食べたいりんご飴!!
あ、でもまず先にたこ焼きかなぁ…」
「はいはい」
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