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僕の声にゆっくりと振り返る見知った姿
ハーフパンツにパーカーというラフな格好をしているその手には回覧板が握られている
「あ、蛍ちゃん!お帰りなさい、あと部活お疲れ様!」
ふにゃりと気の抜けた笑顔を浮かべてこっちにパタパタと小走りしてくる
愛乃はドジだから転けるんじゃないかと見ているこっちがハラハラする
そして案の定……
「っうわぁ!」
………何もないところ躓いた
そしてそのまま僕の胸にダイブしてきた
その小さな体をしっかりと抱きとめる
「何?ただいまのハグしてくれるの?」
「なっ!ちが、違うよ!!」
真っ赤になりながら否定する愛乃
ニヤニヤとしながら愛乃の反応を楽しむ
「っていうか相変わらず鈍臭いよねー
何もないところで躓くとかさぁ」
「人より少し運動神経が良くないだけだもん!」
「はいはい、回覧板回しに行くんじゃなかったわけ?」
そう言うと愛乃は思い出した様に僕から離れた
「あ、そうだった!斉藤さんの所に持っていくの!」
彼女の温もりが離れて少し寂しいような、そんな気がした
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