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「織姫と彦星は1年に1回だけしか逢えないんだよね」
天の川を見ていてそう思った
「どうしたの、急に」
突然の私の言葉に蛍ちゃんは怪訝そうにこっちを見た
「うーん…何ていうか今なんとなくそう思ったの
織姫と彦星にとってはこの日が凄く特別な日なんだよなぁって
私達はこうやって家も近所で毎日顔を合わせているけど
これってすごい事なんだよね」
改めて考えるとこれって凄い奇跡だと思う
「私だったら好きな人と1年に1回だけしか会えないなんて嫌だな」
「まぁ、愛乃の場合、1日も我慢出来ないだろうね」
蛍ちゃんはからかい口調で私に突っ込む
その言葉に私はムッとして蛍ちゃんを見上げる
「……蛍ちゃんはそうじゃないの??」
すると蛍ちゃんはふっと笑って
「本当、馬鹿だね…愛乃は」
そのまま私を引き寄せ耳元で囁いた
「そんなわけ無いでしょ、愛乃はずっと僕の隣にいればいいんだから
離れたらどうなるかわかってるよね?」
「……うん、離れないよ」
私の熱くなった頬を夜風がそっと撫でた
(蛍ちゃんとずっと一緒にいられますように)
(蛍ちゃんが怪我する事なく部活が出来ますように)
(愛乃が笑顔でいられますように )