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恐る恐るのぞき込むと書かれていたのは…

《はい、2着目おめでとうございます!お題は[好きな人との素敵な思い出エピソード]です!》

にっこりと笑う彼女にマイクを向けられる

《え、あの…》
《彼氏さんがいるなら彼氏さんの、好きな人との思い出ならその話をどうぞ!!》
《えっと…あの…》

汗がダラダラと垂れてくる
どうしよう、え…ホントにどうしよう!!

係の人の顔を見ると満面の笑み
無言の圧力を感じる…

《えっと…》

さっきからえっと、しか言ってないっ!

《……一緒にいれるだけで毎日が素敵な思い出なので》

顔中に熱が集まって思わず俯く
しーんと静まったこの空気がなんだかいたたまれない

《〜っ!それはつまり彼がいるだけで毎日が輝いているって事ですね!!そうそう、これよこれ!こういう回答が欲しかったのよ!分かった?!》
「うるさいぞー早く進めろー」

先輩の方を向いてそう言った彼女は先輩に軽くあしらわれていた

《私、貴女のファンになっちゃいそう!また来年も参加してね!》
《えっと…考えておきます…》

絶対参加しないっ!
テントに戻りたくない、というかもう家に直行したい

とぼとぼと2番目の旗の後ろに座る

「愛乃ちゃん、お疲れ様」
「……先輩」
「いやぁ、最高だったよ!」
「どうして教えてくれなかったんですかぁ!」
「ごめんごめん!てっきり知ってるかと思ってたから」
「道理で皆嫌そうな顔をするわけですよ…来年は絶対参加しないです」
「あはは、でもパンはホントに美味しいから!」

要するに高くて美味しいパンを食べるのにはそれなりの代償があるという事か
でもこれは代償の方が大きすぎる気がする
これじゃあ公開処刑と変わらない

未だに冷めない熱をどうにかしようとして手で仰ぐ

「全部ああいう感じのお題なんですか?」
「まぁそうだね、あの子が好きなんだよ、人の恋愛話とか聞くの」

先輩はそう言って係の人の事を指さした

…とんでもない先輩だ、あの人

「まぁこれでカップルが出来た事もあるし結果オーライの人も中にはいるけど
意外と好評みたいでね、参加者以外は」

そりゃあそうだ
好き好んで自分の恋愛事情を全校生徒の前で言いたい理由がない

3着目の人もお題を見て固まっている
お題はどうやら今までに付き合った人の人数らしい
これは私よりも全然いい方なのでは…?
私があれを引きたかった!!

今回のお題は
[告白をする]
[好きな人との素敵な思い出エピソード]
[彼、彼女の好きなところを5個]
[今までに付き合った人の人数]
[彼、彼女との初デート場所は?]

取り敢えず私達の場合はこれだけだった
というか私のが1番ハズレなんじゃ…
まだ1レース目なのにこれがあと2回もあるなんて…
ホントにとんでもない人だ…

来年私がパン食い競争の係になったらあれ止めさせられるのかな?

私は大きな代償を払って手に入れた幻のパンを見つめた