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午前の部がすべて終わりお昼休憩になった。赤組と白組は185点と215点で今のところ白組が勝っている
まだ午後の部が残っているから油断は出来ない
だけど今は一時休戦と言うことで皆お昼は仲良くご飯を食べている様だった
私たちは同じクラスだからそういうのは無かったんだけど、蛍ちゃんの雰囲気がさっきから刺々しい
わたし何かしちゃったかな?
一緒に食べてる忠君もどうしたら良いか迷ってるみたいで眉を下げて笑った
取り敢えず何か話題話題…
思考を巡らせ何か話題が無いか探る
「午後の部で1番最初なの借り物競争だね」
「ツッキー頑張ってね!」
「……はいはい」
「何かあったら言ってね!私も友達に声掛けたりするから!」
蛍ちゃんが誰かに頼むところ想像つかないし…
頭の中で蛍ちゃんが誰かに声をかけるところを思い浮かべて首を振る
…ナイナイ
「何やってんの、愛乃」
「え?!いや、何でも…あはは」
訝しげにこっちを見る蛍ちゃんに慌てて否定する
「あ、でも確か借り物競争って人を限定するのも入ってるみたいだよ」
忠君が思い出したように呟いた
「え、そうなの?」
「うん、去年の借り物競争に出た菅原さんが言ってたんだけど…」
忠君の話によると去年菅原先輩は借り物競争の紙を捲り書かれていた内容が[強面の男性]だったらしい
「それで菅原先輩はどうしたの?」
「東峰さんを連れていってらしいよ」
「……あぁ」
東峰先輩か、と見た目とは反対に気弱な先輩を思い浮かべる
初めてあった時は私も少し怖かった
「他には高身長の女子とか赤眼鏡を掛けた人とかあったみたい」
勿論普通に物だけの場合もあったみたいだけど、と忠君は付け加えた
「蛍ちゃん、物だったらいいね」
「………」
何も答えない蛍ちゃんの表情はいかにもやりたくないという思いが顔に出ていた
*****
嫌そうにしいても時間はあっという間に午後の部が開始され蛍ちゃんが参加する借り物競争がいよいよ始まる
開始の合図を告げるピストルが鳴り
走ってお題が書かれた紙を捲った蛍ちゃんは暫く紙を見つめ私達のいるテントにやって来た
「蛍ちゃん、何て書かれてあったの?」
「愛乃、行くよ」
「え、え…」
手を取られテントから出て小走りでゴールを目指す
何て書かれてあったのかは答えてくれずそのまま引っぱられる
そこで頭によぎったのは友達に借りた少女漫画の1部
体育祭で借り物競争に出た気になる同級生の男子がヒロインのところにやって来て何も言わずにゴールする
書かれていたお題は[好きな人]
まさか、まさかね…
蛍ちゃんがそんなことをするわけが無い
そう頭では分かっていても、もしかしたら…なんて考えてしまう
手を引いて斜め前を走る蛍ちゃんを見つめ胸がとくんと高鳴った
ゴールの前に立っている係の人に紙を渡し係の人がお題と私を見比べておめでとうございます、と言った
ペラリと紙をこちらに見せて1位の所に並んで下さいね、と言った
紙に書かれていたお題は[平均身長よりも低い女の子]だった
「蛍ちゃん!!!」
「何を怒ってんのさ」
「ひどいっ!」
私のときめきを返して欲しい!
ないな、とは思っていたけど!!
せめて身長に関する物じゃないので呼ばれたかったっ
「なんで女子の平均身長知ってるの?!」
「いや、愛乃だったら考えるまでも無く平均身長に達してないでしょ」
「到達してるかもしれないじゃない!」
「ナイナイ」
素知らぬ顔で1位の旗の後ろに並ぶ蛍ちゃん
その横に渋々腰を下ろす
「まだ成長期は終わってないもん………たぶん」
「はいはい」
ちょっとむっとしたので蛍ちゃんの腕を軽く叩いた
そしたら仕返しに頭を鷲掴みされた…今回のは少し痛かった
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