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あの後蛍ちゃんとあのまま手を繋ぎながら帰った
いつもベタベタするのは嫌だって言って手を繋いで帰ってくれないのに…

前に私が手を繋いで帰りたいって言ったの覚えててくれたのかな

雰囲気的には泣いてるこどもを連れてる保護者みたいだっただろうけど、それでも私は嬉しかった


今私がいるのは蛍ちゃんの部屋

でも、蛍ちゃんは今この部屋にいない。
部活が終わったあとにそのままの状態では風邪を引いてしまうから今はお風呂に入ってる


「……」



居間の方からはお味噌汁のいい香りや何かを切っている音がしていて夕飯時なのにお邪魔させてもらって申し訳なかった



ガチャリとドアが開く音がして、音がした方に顔を向けるとそこには蛍ちゃんが立っていた

お風呂上がりの蛍ちゃんは眼鏡を付けていなくて、久し振りの素顔に少しドキドキした


「…少しは落ち着いたわけ?」

「…うん」

蛍ちゃんは私の横に腰を下ろす
その距離が近くて思わず身体がびくりと揺れてしまった

「………」

「えっと、違うの…これは!」

ふぅ、とため息をついて私から距離を置くために身体をずらそうとする蛍ちゃんの誤解を解きたくて私は手を引っ張った

「……これは、違うの」

「違うって何が」

「い、今まで…蛍ちゃんの隣は凄く落ち着く場所だったのに、最近は蛍ちゃんの隣にいると全然落ち着かなくて…でも、嫌いだからとかそういうのじゃなくて
凄くドキドキして顔を見れなくて…変に意識しちゃって…それで避けちゃって、でも、蛍ちゃんに嫌われたくなくて、どうしたら良いのか分からなくて
私、今まで凄く蛍ちゃんに悪い事してたんだって思ったら愛想尽かされてもしょうがないって…でも、私は絶対蛍ちゃんと別れたくない」


自分で途中から何を言ってるのか分からなくなったけど、それでも蛍ちゃんは黙って聞いてくれた


「…別に愛想尽きてないけど」

「へ?」

「だから別れるつもりもない」

「ほ、本当に?」


私がそう言うと蛍ちゃんはこの状況で嘘つくわけないでしょ、と私にデコピンをくらわせた


「まぁ、3日も避けられるとは思ってなかったけど」

「…ごめんなさい」

「で?」

「…え?」


蛍ちゃんの意図がわからず首を傾げる


「3日間で何か考えがまとまったのかって聞いてるんだけど」

「あ、えっと…」


何から話したら良いのかな
とりあえず…


「由紀ちゃんがね…」

「安田?」

「うん、由紀ちゃんがこのままだったら蛍ちゃんが浮気するのは時間の問題だって」

「はぁ?」


私はあの日の事を大まかに蛍ちゃんに伝えた