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向かった先は水道場
蛇口を捻り水を出すと水はまだぬるくて気温の高さを物語っていた
しばらく水を出していると段々冷たくなってきた
その水を愛乃の手に当て冷やす
「……ほんと、ごめん」
「ううん、ほんとに平気なの」
「……黒尾さんが触った後に僕に触ったの、なんか嫌だった」
水で冷やしている愛乃の手をギュッと握り呟いた
「……、そっか…ごめんね、私全然そういうの気がつかなくて」
冷やされていく手を見つめながら愛乃は言った
「まあ、男心がわかる愛乃なんて愛乃じゃないしね」
「!!?ひ、ひどい…」
「…じゃあわかるの?男心…。」
僕がそう言うと愛乃は言い淀んだ
「ホラ」
「で、でも、これからはわかるように頑張るよ!!男心じゃなくて蛍ちゃん心を!!」
「…ッ!!」
ぐっと冷やしていない方の手で握りこぶしを作りながらにっこりと笑う愛乃
僕は思わず顔を反らしてしまった
「…どうしたの??」
キョトンとする愛乃を見て若干イラっとしてしまいその額にデコピンをお見舞いしてやった
「ッ!?いったーい!!!なんでいきなりデコピン!?」
「ねえ、わざとやってるワケ??」
「???…な、なにが??」
ほんと、男心がわからない奴だな
心の中で悪態を付く
……顔が熱いのはきっと夏の暑さのせいだけじゃない
僕は熱くなった頬を見られないように顔をそむけた
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