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ことの発端は合宿場に愛乃が差し入れをしにやってきた事から始まった
ここの合宿場と愛乃の姉である愛美さんの住んでいるところが近いらしく、夏休みに遊びに行っていた愛乃が僕たちが此処で合宿をやっていることを思い出して差し入れをしにやってきたのだ
と、ここまでは良かったんだ
だけど、愛乃を始めてみた黒尾さんや木兎さんが愛乃にベタベタと触っていた
多分僕をからかうために……
頭では分かっていたんだ…
でも、他の男にそんな簡単に触らせる愛乃に、僕はやるせなかった
まぁ、自分よりも年上、しかも僕が(不本意ながら)お世話になっている先輩に対して失礼なことはできないだろう
それをみていた僕に気がついた愛乃がこちらにやって来て、そして僕の手に触れた
黒尾さんがさっきまで触っていた手で…………
僕は無意識のうちにその手を払いのけるようにしてしまった。
今は体育館から少し離れた木の下にいる
ここは夏なのに風の通りもよく、他の場所よりも比較的涼しかった
「……………はぁ」
何をやってるんだ、僕は…
早く謝らなければいけない。
頭ではわかっているのに、なかなか行動に移すことが出来ない
体育館に戻るのも気が引ける…。
いっそこのまま合宿場に戻ってしまおうか
そんなことを考えていると不意に足音が聞こえてきた
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