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その言葉を聞いて愛乃は思い出した様に言った
「あ、それなら澤村さんが蛍ちゃんの荷物持ってきてくれたから大丈夫だよ
今日はもう帰っていいって」
「…そう」
「だからもう少し寝てて良いよ」
きっと部活と勉強を一生懸命頑張り過ぎて体が疲れちゃったんだよ、と諭すような愛乃の声色に眠気が襲ってきた
「一生懸命な蛍ちゃんは好きだけど、自分の体は大事にしてね」
いつの間にか泣きやんだ愛乃は僕の額に手を添えた
ひんやりとした体温が心地よくてなのか
それとも愛乃が傍にいることに安心したのか段々と瞼が下がって行くのがわかった
眠りに落ちる直前に額に柔らかい感触がしたけどそれを聞き返す気力もなく僕は眠りに落ちた
愛乃からキスだったらいいな、と微睡みのなか考えていた
「蛍ちゃん、早く良くなってね」
愛乃が真っ赤な顔をして僕の顔を見ていたなんて既に寝ていた僕は知るよしもない