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愛乃の兄である拓人さんは今の僕と同じ年齢に、つまり高校生の時にモデルをやっていた
本人は小遣い稼ぎにやっていたと言っていたが外で見掛ける時は大抵女子に囲まれていたのをよく覚えている
今でもそれは変わっていないんだろうけど
「…拓人さん、相変わらず彼女いないんですか」
僕の言葉に拓人は目を丸くした後ニンマリと笑って肩に腕を回してきた
「お!?どーした、蛍から恋バナ仕掛けてくるなんて!!」
…ほんと、この人のこのテンション嫌だ
部活後なら尚更
「まぁ、特定の女を作る気は当分ねぇかなー
家には可愛い愛乃がいるしな!!」
「拓人さんってほんと愛乃にべったりですよね」
「なんだー?ヤキモチか??まぁ愛乃は可愛いから仕方ないけどな!」
「…違いますよ。兄にヤキモチ焼いてどうするんですか」
僕がそう言うと拓人さんはふ、と空を見上げて呟いた
「…そーだなぁ、愛美と愛乃が結婚したら俺も真剣に考えるかもな」
夜空を見上げる拓人さんの横顔は何となく寂しそうだった
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