一緒に住むようになって
気づいたこと


朝、おはようと言うと
返事が返ってくることの幸せ
家に帰ると、
誰かが出迎えてくれる幸せ
眠れない夜、
手を伸ばせば届く距離に誰ががいる幸せ


その誰かが、
"君"だという幸せ










「かんざき」
「……んぅ」

隣に眠る神崎がまだ眠いのか、額を肩口に擦り寄せて唸る。
髪に指を差し込んで、柔らかい髪を撫でるとまた、小さく身捩いだ。

「おはよう。
もう起きるぞ」
「ん……はよ」

そうして小さく答えたのを確認すると、まだ寝惚け眼の顔に、優しく口づける。
擽ったそうに首が竦められた。










すっかり覚醒した神崎に見送られ、玄関で靴をはく。
今日はどこぞの挨拶についていくとかで、堅苦しいスーツ姿にオールバックの髪。
鏡を見てその髪を撫で付けるが、まったく気に入らない。

「おい、ひめ」
「ん?
いってらっしゃいのチューか?」
半分本気、口調は冗談気味に言うと肩を殴られた。
「ばーか」
続けて手が伸びてきて、また殴られるかと身構えるが、その手は首もとに向けられる。
どうやらネクタイが歪んでいたらしく、存外優しく揺すられた。

「よし、いってこい」
「…っ!」

そのまま引かれて、頬に柔らかな感触。
確かめる前に離れてしまった。

「…いってきます♪」

親の仕事なんて胸糞悪いばかりだったが、ここに帰ってくると思うと、それもいい1日になりそうだ。










「ただいまー」
「…おう、おかえり」

ダイニングに続く扉をあけると、いい匂いが鼻を擽る。
上着をソファの背にかけて、エプロン姿で鍋に向かう神崎に後ろから抱きついた。

「上着、ちゃんとかけろよ」
「後でかける。
なぁ、神崎」
「ん?」

目線だけで振り向かれて、届かないのでこめかみに唇を寄せる。
「ただいま」
「はいはい」










先にベッドに潜り込んだ神崎が、中央を占拠していた。
そのまま押し退けもせずに、隣に滑り込む。
抱きついても、さして文句も言わずに大人しくしているのは、もう半分眠りかけているからだろう。
項に鼻先を寄せると、シャンプーの香りがした。

「かんざきー」
「…なんだよ」

「好きだよ」
「…知ってる」

「おやすみ」

「………おやすみ」




そうして、寄せられた唇に答えるように、神崎がこちらを振り向いた。










一緒に住むようになって
気づいたこと

朝、おはようと言う
優しい誰かの声で目覚める幸せ
毎日かならず
誰かが自分の元に帰ってくる幸せ
夜の微睡みのなか
誰かの温もりに包まれる幸せ











その誰かが、
"貴方"だという幸せ











なんかの度にキスしてるとかいいなv
うちの姫川は相変わらず髪と匂いフェチですwww




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