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こいつはずるい。


シーツごと抱き込まれながら、改めてそう思う。
あまり寝心地がいいとは言えない枕になっている腕は、自分の倍はありそうだ。
目の前にある胸板も。
自分がすっぽり収まってしまう。
筋肉は勿論だが、それより骨格の問題だろう。
自分がどんなに鍛えたところで、こうはなるまい。
むしろ、どちらかというと自分は、鍛えると引き締まるタイプだ。

少し上にある顔を見上げてみる。
夏もまたバイトに明け暮れて、健康的に焼けた肌。
色素が薄いせいで、焼けても赤くなるだけの自分とは違う。

羨望と嫉妬。
自分を抱き込んで寝息を立てるこの男を目で追っていたのはいつだったか。
ほとんど学校に顔を出さない彼を初めて見たのは、河原だったように思う。
圧倒的な存在感を持って、彼はそこにいた。
周りをぐるりと囲まれ、それでも"不利"なんて言葉は一切思い浮かばなかった。






「……っ?!」

ふいに力強く引き寄せられ、意識も現実へと引き戻される。

「…はじめ」

掠れた声が名前を呼ぶ。
腰に響くこの声も。
名前を呼ぶ甘さも、ずるい。

「なに考えてた?」
「…お前のこと」

答えると、ひどく嬉しそうに笑って、腰にあった腕が背中を抱いた。
そのままきつく抱き寄せられ、胸板しか見えなくなる。

「可愛いな」

男が可愛いなんて言われても嬉しくない。と言うと、そりゃそうだ。と豪快に笑われた。

「でも、はじめは可愛い」
「……あっそ」

初めてそう言われた時は、ひどく抵抗があった。
馬鹿にされたと思って、殴りかかったほどだ。
慣れとは恐ろしい。






「おぃ、とら
……尻、触んな」

無遠慮におりてきた腕に爪を立てたが、まったく怯む様子はない。

「やりたい」
「朝から盛るな」
「だって…」

だってって言うな、その図体で。

「好きだ」
「それ言やいいと思ってんだろ」
「だめなのか」
「否定しろ」


相変わらず、その存在は羨ましく妬ましいばかりだが。

「はじめが欲しい」

そんな男に求められて、悪い気がしないのも確かだ。









「ほんと。テメェはずりぃ」





額に押しあてられた唇が擽ったくて、顔をあげて自身のそれを押し付けた。

手に入れたはずなのに
やはり自分は、彼の圧倒的な存在に支配されている。












なにが書きたかったのか…
東条はかっこいいよね!!って話←違う

神崎に"とら"って呼ばせたかっただけです←←←




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