your happiness 俺はいつだって君の幸せを願っていたけれど 本音を言えば 俺が幸せにしてあげれることを願っていたんだ 君が幸せならそれでいい なんて偽善者 俺には向いてないよね 昼休み。 珍しく、今日は1人になりたい。なんて言い出す彼。 表情はぎこちなく、何かを隠しているのがバレバレだ。 でも、問い詰めても彼は困るだけだろうから、素直に頷いてあげる。 教室を出る後ろ姿を見送りながら、胸に不安がじわじわと拡がるのを感じた。 城山を誘い、二人で学食で食事を済ませ教室に戻ったが、まだ彼は帰ってきていないようだった。 屋上にでもいるのだろう。 ついてくるな。と暗に言われたのだから、居場所を探すこと自体、無粋なのはわかっているけれど、どうしても脚が動くのを止められない。 数分も経たず、屋上の扉に辿り着いた。 重い扉越しでは、声もきこえやしない。 実際のところ、彼がいるのかも定かではないし。 いたところで、偶然だね。と笑えば済むことだと、自分を納得させ、それでも一抹の不安を感じてか緩慢な動作で扉を開いた。 僅かに開いた隙間から、陽光が射し込み、眩しさに目を細める。 目が慣れるまでどれくらいだったろう。 ぼんやりと開いた視界に、彼を捉えた。 そうして、彼の隣にいる人物も。 気付けば、教室の前に立っていた。 どうやってここまで戻ってきたのだろう。 それがわからないほど心乱れるなんて。そんなの自分らしくない。 自分で考えていた以上に、彼を想っていたという事実を突き付けられ、目眩がした。 帰り道、いつもの公園。 嫌な予感は、いとも簡単に現実となる。 「えと、なんつーか…こ、恋人が…でき、た」 彼の頬が紅いのは、夕日の所為だと思いたい。 「ぅ…お、お前らには、言っとこうと思って…な」 残酷な優しさだった。 それでも俺は、笑顔で言うのだ。 よかったね。と。 うまく笑えていたか自信はないけれど。 それを聞いて、また彼が恥ずかしそうに笑うものだから。 ひどく嬉しそうに笑うものだから。 これでいいのだと思った。 彼の顔を見つめていると、吐き気も少し治まる気がした。 彼がいなくなればまた、言い様のない吐き気に襲われるのだろう。 それでも、彼の前ではいい仲間でいられるよう 彼の笑顔の為に 最大の矛盾を孕んだまま 嘘を吐き続けようと思う だって、君が幸せそうに笑うから ――ただその幸せが 俺にとっての不幸せだったという ただそれだけのこと title:"君のしあわせが、わたしの不幸だった、ただそれだけ" by確かに恋だった なんか夏目が病んでてすみません。 そしてもうストーリーとかじゃなくてすみません。。。 ちなみに言うまでもないですが、神崎くんは姫神財閥の御曹司とお付き合いなさることになりました。 夏目くんは本音を人に見せずにいる分、内面はすごくドロドロしてたり、一途だったりすればいいと思う。 ← |