注意。みたいなもの

童話パロというか、小説ベルゼ西遊記からの派生ネタです。
ネタバレはないはず?(コミックスに掲載された範囲は入ってますが)なので大丈夫かと思いますが。
わけはわからないかもしれないので、

・小説読んだよ〜
・気にしないよ〜

という方のみ、閲覧頂いた方がいいかもです。
というわけで、OKな方はスクロールプリーズ



























赤ずきん





目を覚ますとそこは


―――森の中だった。




見慣れない景色、嗅ぎ慣れない緑の香りに、頭をフル回転してみるが、どうして自分がこんなところにいるのか、検討がつかない。

溜め息をひとつ吐き、自慢のリーゼントに手を伸ばす。
チリッ…
髪を撫で付けようとし、頭皮に走った違和感に慌てて、手を離した。

「…て、なんだ、これっ!?」

違和感の正体を確かめようと、自身の手を見つめ、常にはない変化に思わず声をあげる。
長い指先に、更に長さを強調するかのように、スラッと鋭利な爪が生えていた。
付け爪でないことは、自身が感触でよくわかる。
先刻頭皮に走った痛みは、この爪が頭皮を掠ったせいだろう。

爪が掌に刺さらないよう、慎重に曲げ伸ばしてみる。
かなりスムーズに動かせるようだ。



これはあれか。
またあのわけわかんねぇ夢か。

先立って体験した不思議な夢物語を思い出す。
なんかリアルな夢だったよな…。
神崎と瓢箪に捕まって…


そういえば神崎はどこにいるのだろう。

夢か現かもわからず、よくわからない状況であるにも関わらず、神崎がどこかにいる。それだけが当然のこととして、姫川の中にあった。

とりあえず、じっとしていても仕方ない。
姫川は宛てもなく、森の中を移動し始めた。











しばらく森を徘徊して、わかったことがある。

まず、自分には毛並みのいい耳と尾が生えているということ。
嗅覚もかなり鋭く、先ほどから微かに香る人の匂いを頼りに、そちらへ向かっていた。

そして今。
目の前の光景を目にし、確信したことが新たにひとつ。


どうやら今回は"赤ずきん"らしい。





というのも、匂いを辿って行き着いた先に、あの男鹿と古市がいて。それだけなら、知らないフリをして去る。という選択肢があったのだが、その男鹿の背中に背負われた赤ん坊が、真っ赤な頭巾を被っていたからに他ならない。
赤ん坊は、やはり他は何も身につけないままで、赤い頭巾だけが、明らかにに浮いていた。

そして前回同様。
"はじめからそうであった"かのように、自分の立ち位置、やるべきことが自分の内に入ってきた。

正直、面倒事はごめんだ。
できればこのまま廻れ右して帰りたい。
が、自分の意図しないところで、"自分"がそれを許さない。

仕方なく姫川は"自分"に従い、男鹿一行の前に躍り出た。


「…お」

突然目の前に飛び出てきた姫川―狼―に男鹿は、一瞬目を見開き、しかしすぐにそれが姫川と見とめると、警戒を解いた。

「なにしてんの、お前」
それはこっちが訊きたい。

「…いや、まぁそれはこの際おいとけ」

長くなりそうなので、簡潔に物語を進めようとする。
が、続く言葉がでてこなかった。



「…………」
「…赤ずきんって、最初どうなるんだ?」

詳しく童話を知っているわけもなかった。
助けを求めるように、男鹿の影に隠れる古市に視線を遣る。
実際は、睨み付けられているようにしか映らないのだが。
それでも古市は状況を察してくれたらしく、背後に「どうなんだ?」と問いかけた。
姫川の位置からは見えなかったが、どうやらまだ他に人がいたらしい。
古市の影から、小さな少女が顔を覗かせ、偉そうな態度で講釈を垂れる。

要約すると、赤ずきんに遠回りをさせて、その間に病床のおばあさんを襲い、その後やってきた赤ずきんを襲う。という手筈らしい。


「…んじゃ、お前らあっちから向かえよ」
「えー、面倒くせぇ」
「話進まねぇだろぅがよっ!!」


「…つーか、それ以前にお前ら、何役なんだよ」

たしか赤ずきんは、1人で森を歩いているはずだ。
だからこそ、狼に付け入られるのだろう。

「んー…それは多分、ベルゼバブ様が男鹿から離れられないのと」
「単純に役が足りないんだと思います」
「…そーかよ」

大概テキトーだな…。

「とりあえず、話進めた方が俺ら的にはいいわけだし。
男鹿、ここはチョット遠回りしようぜ」

古市の尤もな意見に、男鹿も渋々頷くと姫川に背を向けて歩き出す。

遠回りさせた。というより、置いていかれた気がしないでもないが…。




「とりあえず、ばあさんち行くか」
















「…ここか」

例の第六感的、自身の感覚で、目的の家にたどり着いた。
童話にでてくる家と言えば、赤い屋根の可愛いおうち。だが、目の前に威風堂々佇む建物は、純和風の立派な門構えだ。

確信に近い期待を胸に重い扉を開けると、外観を裏切る童話の世界が広がっていた。
やはり、そこは童話の世界。
畳敷では問題があったのだろう。

突如現れたファンシーな空間に圧倒されながらも、姫川は目的の人物を探す。
部屋の左奥。
可愛らしい木のベッドの上で、布団が盛り上がっていた。


「………神崎、か?」


頭まで被った布団の端を恐る恐る持ち上げる。
予想通り、覗いた顔に安堵の溜め息が漏れた。

吐息が顔にかかったのか、神崎眉根を寄せ、微かに身じろぐ。


―――ゴクリ…

常にはない無防備な様子に、知らず喉を鳴らす。
思いの外、大きく響いたその音に自分で驚き、一歩下がったところで、床板が大きく鳴いた。
神崎が布団の中で一層蠢き、ゆるりと顔を覗かせる。

「…ん……あれ、
なんだ…お前」

寝惚け眼でこちらを見上げる姿に、姫川は色々と限界だ。

寝惚けて舌足らずとか、可愛いな、おい。
つーかなんだよ、それ。
パジャマとか反則だろ。
ジャージとかシャツじゃねぇのかよ!!


1人悶々としていると、寝惚けながらも、神崎の表情が訝しむものに変わっていく。

「ぁ…えっと、なんだ
…っそう!赤ずきんってやつに頼まれてさ。
少し遅くなりそうだから、伝えてくれ…って」

流石に無理があったか?
となかなか反応を返さない神崎に、背中を嫌な汗が伝う。

少し間をおいて神崎は、うー。と小さく呻き声を発した後、

「そうか。そりゃありがとよ」

少しはにかんだような笑顔を向けた。









ずきゅんっ。





確かに耳に、胸に何かが突き刺さる音が聞こえた。
もちろん、姫川本人にしか聞こえないが。

「ちょっと待ってろ。
お礼にヨーグルッチやるよ♪」

そう言ってこちらに背を向けた瞬間。その無防備な背中目掛けて飛び掛かっていた。


据え膳食わぬはなんとやら。

いただきまーすっ★















―――ドキューンッ



「!?!!??」

耳先を掠める熱と、部屋中に響く轟音に、伸ばした腕が止まる。
続いて、やけに楽しそうな声がが扉から聞こえた。

「あらら、こんなところに生きのいい狼が」

そちらに目をやると、やけに似合う猟師スタイルの夏目と、猟師というよりは捕まった熊のような城山が煙を吹く猟銃を手に仁王立ちしていた。


「…え、ちょ、猟師早くね?!」

「神崎くん、こっちおいで」
「お、おう…」

姫川の非難は聞こえないフリで、夏目はさっさと神崎を背中に匿う。

神崎はよく状況が飲み込めないまま、ただ狼はやはり危険そうなので。と夏目の後ろに隠れた。

狼と猟師が睨み合い、緊迫した空気が流れ始めてすぐ


「たのもー!!」

緊張の糸は、破壊された扉によってあっさりと引きちぎられた。

「いや、違うだろ、それ」
「ん?そうだっけ
とりあえず、何すりゃいいんだ?」
「えっと、悪い狼を倒す…かな」
「ようし、ぶっとばしゃいいんだな」

なんだかよくわからない内に、どんどん不穏な方向に話が流れて行く。
嫌な汗が、背中を伝い、初めて感じる、尻尾の毛が逆立つ感覚。


「お、おい、待て。
展開早いし、なんか色々間違ってるぞ!」



必死で訴えたが、男鹿には少しも届かないようだ。

「問答無用!!!」



















あれ、なんか前にもこんなことあったような…
デジャヴを感じながら、意識を失った。




姫川さん、ごめんなさいっorz≡(スライディング土下座
ベルゼ小説の西遊記に萌え、何か書きたいなぁと思った結果、こんなことに。
金銀ネタをうまく活かしきる自信がなかったので、別童話に。。。
私は姫川をどうしたいのか…

このままではあまりに姫ちゃんが可哀想なので、また後日幸せな感じで童話パロ考えたいと思いますー。需要ないかもですが←←




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