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* * *




「ーーー久々の仕事だ」


夕暮れ時、土間に人を集めると和葉はそう言い放った。


和葉、菘、朔、そして依頼主の男が囲炉裏を囲んで座っていた。


パチパチと木の焼ける音がする。


「蒼詠が今こちらに向かっているらしい。着き次第全員で向かう」


「向かうってどこに・・・」


依頼主の男が怯え気味に和葉に訪ねる。


「ーーー花街。またの名を妖街」


「なっ・・・!そこにいるっていうのか!?なら・・・もうとっくに・・・」


男はがくりと項垂れる。


一体その場が何だというのだろう。


訳が分からず菘も立っている和葉を仰ぎ見る。


「行けば分かるだろう」


「俺は嫌だなぁ・・・あそこ苦手だよ」


訳も分からず、しかし周りの反応を見て不安しか沸いてこず菘は畏縮する。


すると、不意に。


「ーーーお待たせいたしました」


静かに戸が開けられ黒衣に身を包んだ蒼詠が土間に上がってきた。


「ーーー来たか。すまないな、墓参りに行っていたというのに」


「いえ。いつでも行けますから。それよりもーーー」


和葉との挨拶もそこそこに蒼詠はちらりと客人の方を見る。


「今回の依頼主だ。奉公へやると言われて騙されたらしい・・・今回の依頼は娘を探すこと」


「なるほど・・・お客人と鈴姫様はいかがいたしますか?」


「ーーー連れていく」


「本気ですか?お客人はともかく・・・」


「いや、菘は連れて行く。探し人を知っているのは客人だけだし、菘のことは蓮華に話してある」


「ーーーなるほど、"蓮華様"でございますか。それならば異論はありません、参りましょう」


自分達の話が出ているが状況を把握できていない二人はおろおろするばかりだ。


朔は半ば諦めた様に大きなため息をついている。


「ーーーでは、行くか」


和葉の合図で朔が立ち上がり、釣られて菘も立ち上がる。


不安を胸に抱きながら菘は和葉の後ろを追いかけた。







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