03



鈍い傷みが左脇腹に走った。


全くと言って良いほどその動きを捉える事が出来なかった。


「お前っ・・・」


「―――この目は便利でね。様々なものを見通せるのだよ」


―――バッ。


血飛沫が舞う。


地面が赤く染まる。


「がはっ・・・」


一気に短刀を抜かれた。


少しずつ、意識が朦朧としてきた。


「この程度では死ねないんだろう?」


冷徹な声が耳に響く。


身体に力が入らない。


ゆっくりと、青風の身体が倒れる。


「・・・全く、手間とったよ・・・」


無造作に青風の襟の辺りを掴むと、彼は雨の中をずるずるとひきづって行く。


「・・・れ・・・は・・・・・・」


何故、自分は今生きているのだろうか。


あの日、とうに終わるはずだった命なのに。


「―――・・・私もまだまだ甘いな」


霜惺が何を呟いたか、もはや青風の耳には届いてはいない。


彼の目に浮かぶのは、懐かしき人々だった。






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